DAIWA PIER 39(ダイワ ピアサーティナイン)、アイテムがあっという間に完売するモンスターブランドの誕生…その特徴、盛り上がり過ぎた転売熱故に当面はスルー推奨も、例外的に狙えるアイテムとは?
DAIWA PIER 39(ダイワ ピアサーティナイン)、アイテムがあっという間に完売するモンスターブランドの誕生
今最も人気のあるファッションブランドはどこか?と言うと、様々な尺度があるにせよDAIWA PIER 39(ダイワ ピアサーティナイン)の名前は必ず挙がる、挙げなければならないと言って良いでしょう。
しかし、その知名度は一般的にはまだまだで、ほとんどの人にとっては、ダイワ? PIERって何て読むの?といった反応になるでしょう。
ところがこのダイワピア、今や新作アイテムが発売されるやいなや、あっという間に全て完売してしまうというほどの人気なのです。
新型コロナ禍において苦境ばかりが伝えられる中で、快進撃を続けるモンスターブランドと言っても良いでしょう。
DAIWA PIER 39(ダイワ ピアサーティナイン)のアイテムの特徴
ダイワピアは、「大自然」と「都会をシームレスに繋ぐ架け橋」をコンセプトに2020年春夏から始動した新しいブランドです。
母体となるDAIWA(ダイワ)は釣り用品のトップブランド。
そんなダイワがBEAMS(ビームス)と組んで始めたファッションブランドがダイワピアなのです。
釣り好きの人では知らない人はいないブランドだけに、え?あのダイワがファッションとして人気なの?と驚かれる方も少なくないでしょう。
PIER39は、サンフランシスコにある観光地に由来します。
釣り用品としてデザインされているわけではなく、あくまで街着、ファッションアイテムとしてデザインされながら、フィッシングに耐えられる機能性を付加する、そんな提案を行うブランドなんですね。
View this post on Instagram
ダイワピアの特徴としては、まずは化繊素材をメインとした「テック系」のブランドであるということが言えるでしょう。
元々フィッシング・釣りを主体とするアウトドアメーカーだからこそ、その機能性をウリにしています。
ただそれだけに留まらず、しっかりとデザイン的に突出したところ、言うならば「尖った」ところを見せています。
フィッシングウェアにおける「ポケットがたくさんある」という特徴をミリタリーディテールに進化させていますし、シルエットはやり過ぎなほどビッグシルエットに作っているアイテムもあります。
View this post on Instagram
またこのモチーフながら無骨さは無く、どことなく可愛らしく、デフォルメされたような丸みを帯びたデザインというのも今っぽいですね。
野暮ったく感じることはあっても、あくまでデザインされた野暮ったさと言うか。
色調もトレンドのブランドが使うようなポップなものを使い、服好きに刺さる要素をふんだんに盛り込んでいます。
だから…おそらくなのですが、ダイワピアのルックを一通り眺めても「え?これがカッコいいの?何が良いのだろう…」となる人も多いはず。
ただこれが、ファッション感度の高い人には「刺さる」んですよね。
Instagramの時代では、むしろやり過ぎと思えるくらいの方が良い面もありますしね。
少なくとも、「何だこの服は!?」とちょっと気になる、そういった要素が今は大事ですね。
「普通」が好まれた2010年代前半とは異なり、本当に「普通」だと、今は売れないのです…。
ただ、一般的にこれがカッコいいとされるまでには、もう少しだけ時間が掛かるでしょう。
ダイワピアの特徴は、そうしたファッションとしての「ツボ」を抑えた上で機能性が高いこと。
釣りは濡れるのが前提ですから、撥水機能付きはデフォルト。
中には透湿防水に優れたゴアテックスなどのハイテク素材が使われた、雨天時でも釣りが出来るようなアウターもあります。
ポケットもこれでもか!というくらいにたくさんあるから、カバンが不要ほどです。
ビッグシルエットメインで生地もたくさん使って、さらにゴアテックスなどの機能性素材も使って…となると、ジャケットで10万円超えなんて当たり前、というのがファッションブランドの世界。
その「相場」から考えると数割安いな、と思えるアイテムが多いですね。
ポケットだってこんなにいっぱいあったら縫製が大変になってその分値段割増になるのが常ですが、ダイワピアは決して「高過ぎる」と思わせることが無いのです。
デザインへの反応は人ぞれぞれでも、洋服好きならばそのコストパフォーマンスの良さは認めざるを得ないと思います。
正直業界の「売ろう」という圧力が結構凄かったこともありますが、それだけではなくやはりモノとしての良さがあると思います。
ここのところ素材への関心が高まって、どこのブランドも上質なコットンやウール、カシミヤなどの高級天然素材へと傾倒していく中でブランド服の価格も高騰し過ぎていたところがあると思っています。
じゃあ化繊なら安いのか?と言うとそんなことはなく、 アクロニウムやアークテリクスヴェイランス、そしてテアトラなど皆が憧れるブランドはむしろ割高に感じるほど高価。
ここのところ各セレクトショップは化繊を使ったセットアップなどに注力してきたのですが、セレクトショップオリジナル品ではブランド力が弱い…。
そんな中で、価格的にも高過ぎることなく、機能性に優れ、なおかつファッション性にも優れ…という良いところ取り的なブランドと言えるでしょう。
加熱する転売熱…スルー推奨も、例外的に狙える場合も?
これまでは上位ブランドが高級天然素材で作るような洋服を下位ブランドが化繊によって廉価にコピーする、というのが定番になりつつあったアパレルの構図。
そんな中で、しっかりとモノとして作り込み、決して廉価ではないものの、決して高過ぎるということもない、「本物」感のあるブランドとして若い世代を中心に熱烈な支持を受けることになったダイワピア。
ただし、現在の供給状況はその需要に比して歪なものになりつつあります…。
元々昨年秋などは、人気商品のダウンベストなども店頭でじっくり見れるくらいの余裕はあるブランドだったのです。
ただ、別注品(セレクトショップが限定で展開する特別な仕様のアイテム)などがフリマアプリなどで定価を大きく上回る値段で取引されるようになり、それに牽引される形で通常ラインのアイテムもフリマアプリ上で値上がりしていきました。
そして21SSシーズンにおいては、アイテムがリリースされると全て即完売してしまう、というような事態になってしまいました。
人気アイテムが即完売するブランドはありますが、リリースする全てのアイテムが即完売するなどというブランドはそうあるものではありません。
もはやモノの良し悪しではなく、ダイワピアなら根こそぎ買われる、そんなブランドになっています。
これには明らかに転売ヤーと呼ばれる人たちの参戦もあります。
今はこういうブランド、こういうアイテムが転売で利益を出すことが出来る、という情報はすぐに広がります。
「最近はこの釣具ブランドが高値で売れますよ」みたいに。
そうなってしまうと、普段そのショップではありえない行列が出来てしまったりします。
また少々元値より高くても売れてしまうんですよね、今のダイワピアは…。
今はフリマアプリによって手軽に取引が出来ますし、もうこうなると転売を止めることは出来ません。
店舗によっては大行列になっていたり、ポップアップなどを開催するとあっという間にアイテムが無くなって早期終了する事態になったりと、とにかくもう無茶苦茶な状況なのです。
このコロナ禍でも人気があるというのはアパレルにとっては救世主的なブランドではありますが、うーん、今はちょっと「スルー推奨」のブランドでもあるかもしれないですね。
特にビッグシルエットを強く押し出したアウター類に関しては、少なくとも今年秋に掛けては入手困難な事態が続くと思います。
とは言え、こんな状況が長く続くとは思いません。
どういうブランド設計をしていくかという戦略もありますが、需要に対して供給を絞っていくやり方を継続し、いわゆる「プレ値」商法を徹底・維持出来ているのはNIKEやSupreme(シュプリーム)などの海外ブランドだけですから。
この流れが落ち着くまでは、様子見が良いと思いますね。
洋服を入手するために、読者の方に大変な思いをさせたくはないですし、私もしたくありません。
ただ、例外的にダイワピアを「狙える」ケースも出てきています。
例えば一昨日2月26日に発売となったDAIWA PIRE39×BEAUTY&YOUTHの「SWING JKT(スウィングジャケット)」と 「2P PT(2プリーツパンツ)」による別注セットアップ。
これらはセレクトショップのbeauty&youth united arrows(ビューティーアンドユース ユナイテッドアローズ)取り扱いのほぼ全店舗で展開されたアイテム。
ビューティーアンドユース ユナイテッドアローズは、全国に取引店舗が50を超えてありますから。
一店舗あたりの割当は少なくとも、その分分散するので、手に入りやすくなるんですね。
私も一昨日は用事があって店舗に行けたのは閉店間際だったのですが、何とか入手することが出来ました。
決して楽ではないですが、とは言え今のダイワピアとしては、入手しやすい方だったと思います。
渋谷周辺の店舗などでは発売後即完売だったようですが、そうした「若者の街」からちょっと離れると、都内でもポツポツとですが夜まで在庫があるところがあったようですね。
都内・関東はもう人気のブラックの在庫はほぼ在庫はないのですが、地方の店舗であればまだあったりします。
まあもちろんこのコロナ禍で無理はしてほしくないのですが…。
このバラクータG9型のスウィングジャケット、この別注のために型から新規に起こされた、通常ラインにはない仕様。
フィッシングのためにたくさんポケットがあるという、というのがダイワピアの特徴ですが、これが控えめ。
もちろん目立たないように、内側にたくさんあったり、表のポケットも横に広く、左右2つずつになっていたり…と「らしさ」も残しているのですが。
全体としては非常にシンプルで取り入れやすい、ダイワピア入門にピッタリのアイテムだったのではないかと思います。
都内や全国に数店舗しかないような小規模セレクトショップの別注アイテムだと、凄まじい競争率になってしまうのですが、こういった大規模な展開だと、比較的入手しやすくなるので狙ってみても良いでしょう。
ちなみにオリーブは、ちょっと難しい色味で、まだまだ店頭に残っています。
こちらは、ある意味で加熱し過ぎたダイワピア熱を冷ますようなアイテムかもしれないですね…。
結局モノによるよ、という。
DAIWA PIER 39(ダイワ ピアサーティナイン)が作る新たな価値
コストパフォーマンスの高さ、そして尖ったファッション性の高さはあるものの、釣り、フィッシングという、その服が存在する上での「背景」がしっかりしているのもダイワピアの強み。
釣りが出来る服でなければいけない、というある意味制約を課すことでリアリティが生まれているんですよね。
ミリタリーウェアを始め、ほとんどの洋服は、カッコいいから作ったというようなアイテムは少なく、機能性を追求した結果としてそこにカッコ良さが見いだされた、というものが多いですよね。
特にメンズは。
釣りに耐えられる服を追求した結果、そこにリアリティがあるからカッコいいと感じさせる部分も大いにあるでしょう。
男の服って、カッコつける「言い訳」が必要なんですよ…。
スケートボード(スケボー)をするスケーターや、スノーボード(スノボー)をするスノーボーダーはファッション的にもカッコ良いとされています。
スケボーやスノボーをすること自体がカッコいいのか、それともファッションがカッコ良いからスケボーやスノボーがカッコ良く感じるのか?
半ば自然発生的にファッションと結びついたこれらのスポーツですが、ダイワピアには、釣りやフィッシングというスポーツとファッションを結びつけて、それ自体をカッコいいものにしてしまおう。
そういう野心すら感じるブランドになっていると思います。
私も久しぶりに、ちょっと釣りでもしたいな…なんて思ってしまいます。
今はキャンプなんかのアウトドアも絶好調ですし、新型ウイルス禍もあって都会で皆が集まって何かをやる、というよりも自然への回帰、みたいなことが広まっていくのではないでしょうか。
また釣りをしなくとも、化繊素材の使いやすさとファッショナブルな要素の掛け合わせというのは、現実的な提案でもあると思っていて。
オシャレはしたいけれど、子育てなどでどうしても繊細な天然素材は着れないとか、釣りに限らずアクティブな活動をオシャレにしたい!という要望ってあるはず。
また決して安くはないけれど、高過ぎるということもない価格設定も魅力的でしょう。
トレンドを意識したポップなデザイン故に、今は若年層を中心に人気のブランドになっていますが、実は、今ファッションからは色々な事情で離れてしまっている、一線引いて考えてしまっている人たちをファッションへと呼び戻す、そんな魅力も秘めているのでは?と思います。
どうしてもブランドとともに転売熱も盛り上がってしまって、その良さが広まりづらい状況ではありますが、長い目で見ていきたいブランドですね。
今回のダイワピア別注アイテムは、note定期購読マガジンの「オシャレ脳を鍛えよう!」でも発売前に速報、また発売後のレポートを行っております。
様々なブランド、価格帯、アイテムカテゴリーにおいて、最高のモノを紹介・提案する!をモットーに日々活動しておりますので、興味があればフォローだけでもして頂けると有り難いです。
こんなご時世ですが、徹底した実物のリサーチに基づき、現実感と洒落感を上手くミックスさせたご提案させていただきます。
読者の皆さまのファッションライフをとことんサポートさせていただきますよ!
よろしくお願いいたします。