この秋は「デニム」回帰!?噂のAURALEE初のデニムや注目のセレクトショップが送り出す傑作スラックス型デニムなどをレポート!あのペグトップにジーンズタイプが登場!
もう既に秋物の入荷ラッシュの始まりになっているわけですが、今年は暑すぎてなかなか秋物の話を受け入れてもらえないのでは?というくらい暑かったですね。
リサーチで歩き回るのもシンドかったですが、そんな中でもやっぱり「コレは!」っていう良い物に出会えると、報われる思いがしますね。
今秋注目のボトムスキーワードは、デニム、ブラウン、コーデュロイなどです。
「デニム回帰」を謳っていた今年ですが、この秋はデニムが豊作!
早速レポートしていきたいと思います。
トレンドを牽引するAURALEE、初の本格デニムは!?
今最も旬なドメスティックブランド、AURALEE(オーラリー)。
秋冬物も予約を受け付けているサイトではほとんど完売になっていたり、ドメスティックブランドとしてはちょっと異様な人気になっていますね。
中古品の値段、リセールバリューも高止まりしています。
(だから安心して買える…という好循環が生まれているのかもしれません。)
そんなAURALEEが初めて綿100%の本格的なデニムを作った!ということで、かなり話題になっています。
【AURALEE オーラリー】HARD TWIST DENIM 5P PANTS
しっかり太いワイドバージョンと、センタークリース(中央の折り目)が入ったミドルくらいの太さのものと2タイプ、それぞれカラーがインディゴ、ブラック、ブラック×グレイとあります。
バリバリのモードブランドではないですし、YAECAやCOMOLIと同じカテゴライズがなされることの多いブランドなので、デニムを出すのは初と言われると意外な気がしますね。
それも「納得できる生地が無かったから、生地から作った」と言うんですから恐れ入ります。
糸の段階で極限まで強く撚(よ)っているので、穿き込んでいっても生デニムのときの表面のカリッとした質感が残るそうなんですね。
デニムってどうしても洗い込んでいくと、表面もハリ感を失ってクタクタっとしてきてしまいますからね。
ちなみに表面以外はクタクタっとしてくるそうです。
表面カリカリ、中はフワッて、理想的な目玉焼きかよって話ですが、どうなっていくのか大変興味があります。
ちなみに生デニムのときの表面の質感が維持出来るだけで、色落ちしない、というわけではないですからね。
既にワンウォッシュ(製品段階で「洗い」を掛けて、色落ちや風合いを出すのと、縮みをある程度させ切ることで、洗濯によるサイズギャップを防ぐ)がかけられていて、最初から生地に抜群の雰囲気が出ています。
インディゴはデニムらしいムラ感もしっかりあって、デニム本来の風合いを楽しめるタイプ。
ただこれ、気をつけないといけないのはテーパード(スソに向かって細くなる形のこと)はほとんど効いていないストレートシルエットなので、これまでトレンドだったテーパード系に慣れているとかなり難しさを感じると思います。
最近のトレンドのシルエットはゆったりとした腰回りで、そこからスソに向かって細く。
こうすることによってメリハリを付けるというのが主流。
このアイテムは腰回りをスッキリとさせているので、スソに至るまでに緩急が少なく、ゆるやかに繋がるカタチなんですね。
http://potentialblog.seesaa.net/
そこに難しさを感じる場合は、なるべくこの例のように丈を短めに仕上げると良いかなと思います。
センタークリースはあるものの、生地感や雰囲気的には「デニムらしいデニム」要素が強いと思っていて、いわゆるキレイ目な方向性に振られたアイテムではありません。
その点でスラックスとの互換性はイマイチだと思います。
おそらく「スタプレ」なども参考にしていると思うのですが、「キレイめなスラックスのように使える」とはあまり考えないほうが良いかな?
あくまで典型的なジーンズの延長線上にあるアイテム。
ところでこのセンタークリース、今年のデニムのトレンドとも言っていいディテールで、本当に多いですね。
日本のデニムのクオリティはずっと高いというのに、それとは裏腹にちょっとした「デニム離れ」が進行しつつあった昨今のボトムストレンド。
そんな中で、デニムにまた人を呼び戻す1つのアクセントになっている気がします。
AURALEEのインディゴはデニムらしさの中にも繊細さを感じる生地感。
センタークリースも相まって、久々にデニムを穿いてみようかなと思わせてくれるアイテムです。
話題のアイテムなので、既に品薄のようですね。
ハードツイスト5ポケットデニムパンツ【HARD TWIST DENIM 5P PANTS】|AURALEE(オーラリー)
AURALEEの対抗馬として推したい、スラックスのように使えるデニム!
AURALEEの対抗馬として推したいのが、セレクトショップBLOOM&BRANCHのオリジナルブランド、KIJI(キジ)のコットンテンセルデニムの新型「KAYA」です。
BLOOM&BRANCH WEB SHOP - KIJI Denim "KAYA"
セレクトショップのオリジナルブランド、と聞くとドメスティックのデザイナーズブランドには劣る、というイメージがあり実際そうなのですが、「BLOOM&BRANCH」や「confect」などのショップオリジナルはレベルが高いです。
これらはドメスティックブランドとあまり変わらない価格帯なので、そうでないと競争力を持てないですよね。
生産背景にもこだわって、セレクトしているドメスティックブランドに負けないものを作っています。
もちろんリセールバリューなんかを考えたときには、固定ファンが尽きやすいデザイナーズに軍配が上がります。
もし少し着てみて上手く行かなかった場合でも、デザイナーズならリセールでお金が戻ってきやすい。
こうしたセレクトショップオリジナル品を買う場合はそうではありません。
値段が多少高くてもリセールバリューを考えると、デザイナーズを買ったほうが後々得する、なんてこともあります。
下世話な話ですが、人気のブランドがさらに人気になっていく構造には、そうした要素もあるのです。
もちろんそんな損得を考えてばかりじゃあ、ファッションは面白くない!
よく吟味して、これは絶対に使うと思ったものや、デザイナーズにはないアイテムなら十分買う価値があると思っています。
話は戻って、KIJIのコットンテンセルデニム。
その名の通り、コットン100%ではなく、緯糸(よこいと)にテンセルを使用しているのです。
根っからのジーンズ好きには邪道と言われそうですが、これによって通常の生デニムよりもさらに強いツヤ感になっています。
ストレッチも入ってはいないんですが、通常のデニムよりは最初の穿き心地と言うか、肌当たりも良いですね。
デニム特有の毛羽立ちもほとんど無いですし本当に綺麗な表面感しています。
AURALEEは単なるセンタープレスなのですが、こちらはワンタックアリ。
ポケットなどもスラックスディテールで作られています。
「KAYA」は新型のワイドテーパードタイプで、そこまでテーパードはキツくないのですが、ヒップや腰回りにかなり余裕をとってあり、そこからストンと落ちて綺麗なシルエットを形成してくれます。
このブログでお馴染みのMARKAWAREのペグトップ(後ほど紹介)に見られるように膝下から急激に細くなり、裾幅は狭い、というタイプではなく、緩やかにテーパードして裾幅はやや広め。
そのためしっかりワイド感が出てきます。
どうしても固めなデニム生地だと、より身体から離してシルエットを形成しないとなかなかストンとしたシワ感の少ないスラックス的なラインにならないものですね。
サイズは1~5まであるのですが、これはユニセックスなブランドだからで、「3」からがメンズサイズになるのでご注意下さい。
またこちらは「ノンウォッシュ」、つまり洗いが掛けられていません。
そのため一度目の洗濯時に縮みが出ます(横1%、縦1.4%程度と言われています)。
またこの濃い濃い色味も多少は落ちてしまうでしょう。
http://bloom-branch.jp/blog/2018/08/68658.html
スラックスとの互換性がバッチリなんですね。
KIJIのコットンテンセルデニムには、リーバイスのスタプレのような型もあるのですが、私はこのKAYAが一番オススメしたいですね。
デニムですが、しっかりアイロンを掛けて穿きたい、そんなアイテムです。
http://bloom-branch.jp/blog/2018/08/68658.html
もちろん裾上げもダブルのままで。
色味は黒に見えるような画像もありますが、濃インディゴです。
お馴染みのペグトップ初のデニムタイプは!?
このブログでも再三登場しているMARKAWARE(マーカウェア)のペグトップ。
ゆったりとした腰回りから、ウエストから太ももにかけてはワイド、そこからスソに至るまでのライン取りによって非常に綺麗なシルエットを形成してくれるスラックス。
もちろん人によって合う合わない等はありますが、少なくとも現段階において最も洗練されたシルエットのスラックスだと思っています。
読者の方からも「合計○本買いました!」という報告を頂くほど、一度穿くとハマってしまう絶妙なシルエットなのです。
私自身もペグトップという名前ではまだなかった2年前の春夏に出会ってから、最も多く買った&穿いているボトムスになります。
ブランドで最も引き合いが多い型なので、数多くの素材や柄などバリエーションが発売されるんですよね…。
こんなに1つの型でバリエーションが生み出されるボトムスというのも、なかなか記憶にありません。
(多くの場合はその前に飽きられてしまい、モデルチェンジされてしまうんです。)
そんなペグトップにも今季は初のジーンズタイプとしてデニム生地のものが登場。
今回もデニムバージョンが厚み別に2タイプ制作され、私が見ることが出来たのはやや薄手の12オンスバージョン(品番A18C-14PT22C)。
一般的なデニムは14オンス程度ですが、スキニーデニムなどでもう皆薄い生地のデニムに慣れてしまっているので特別薄手とは感じないかな?と思います。
【A18C-14PT22C】
http://owlsilhouette.ocnk.net/product/2166
驚いたのがデニム生地でも全くゴワつきが無く、ペグトップのシルエットの良さが再現されていること。
シルエットというのは、同じパターンで作っても生地によって全く再現度合いが違ってきてしまうもので、このペグトップも過去に一部のチノパン素材などだとウール素材に見られる伸びやかさが上手く出ない、なんてことがありました。
最近だとコットン100%でも生地が良くなって、シルエットの再現性が改善されていたのですが、デニムでもシルエットの伸びやかさが出ていたので驚きました。
FRONT PLEATED PEGTOP - オーガニックコットン20/-ギャバジンマイクロビーチ
あとはこの全体的に色褪せたようなライトインディゴの色味をどう料理するかだけでしょう。
私は今回見ることが出来なかったのですが、14.5オンスのバージョンもあるようです(品番A18C-14PT12C)。
FRONT PLEATED PEGTOP JEANS/DRY & WET STONE WASH - 14.5oz
やっぱり気になるアルゼンチンオーガニックウールのペグトップ、今季は新色や新型のスリムバージョンも!?
コットン100%のシルエット再現率が高くなった(その分値段も上がってしまいましたが…)とはいえ、やはりオススメしたいのはウール版のペグトップ。
MARKAWARE / マーカウェア : FRONT PLEATED PEGTOP -ORGANIC WOOL WORSTED JAPAN FLANNEL-A18C-07PT01C
今季はデニムの他にもトレンドの「ガンクラブ・チェック」など様々なバージョンが作られていますが、やはりアルゼンチンオーガニックウールを使ったプレーンなものが王道と言えるでしょう。
アルゼンチンオーガニックウールを使用した生地は春夏はサラッとした清涼感のあるサマーウール、秋冬は少し毛羽だった温かみのある素材感のフラノと使い分けられています。
今年の秋冬版ペグトップは、シーズンカラーとしてグレーやブラウンが登場。
MARKAWARE / マーカウェア : FRONT PLEATED PEGTOP -ORGANIC WOOL WORSTED JAPAN FLANNEL-A18C-07PT01C
MARKAWARE : |MARKAWARE(マーカウェア)FRONT PLEATED PEGTOP
ブラウンはちょっと赤紫というか、すこし色っぽいニュアンスを感じる色合い。
グレーは非常に人気が高く、受注会でも予想外に予約が入っているそうですね。
そして今季は新しく「TIGHT FIT TROUSERS(タイトフィットトラウザーズ)」という新型のスリムスラックスが登場。
MARKAWARE / マーカウェア : TIGHT FIT TROUSERS -ORGANIC WOOL WORSTED JAPAN FLANNEL A18C-07PT03C
こちらは腰回りからしっかり細くしたというスリムテーパードタイプ。
MARKAWAREではここ数シーズン、ワイドテーパードタイプのペグトップの他にさらにワイド、太めに振ったアイテムは作られてきましたが、細めに振るのは久しぶりなので、どんな出来なのか非常に楽しみですね。
どちらも9月にデリバリーされる予定だそうなのですが、どうもタイトトラウザーの方がペグトップよりもやや遅いデリバリーとなるようです。
細めのテーパードスラックスではオナーギャザリングをオススメしていたのですが、オナーギャザリングはブランド休止になってしまったので、新しいオススメになれるか…。
MARKAWAREの他にも「NEAT(ニート)」などもお値段お高めなスラックスの中ではオススメなのですが、生産数が極端に少ないためなかなか紹介出来ずにいますね。
お手軽さ・コスパならこれが一番、MUJILABOのワイドデニム、だが…
ムジラボ2018春夏で登場した「ジャパンファブリックデニムストレッチワイドパンツ」は、お手軽さやコスパでは誰もこれに敵わないセミワイドシルエットのデニムパンツ。
テーパードはほとんど掛かっていないものの、シワ無くストンと落ちてくれるシルエットが綺麗で、ワイドパンツ入門にピッタリで良作揃いのムジラボ2018SSの中でもオススメ上位だったアイテムです。
ただこれも流石にサイズ欠けが激しく…。
ウエストで選んだ基本のサイズから、さらに上下2サイズくらいは試して理想のサイズを選択してほしかったので、今の状況だとそれは難しいかも…。
ムジラボ秋冬はまだシャツとカーキのワイドパンツくらいのリリースに留まっており、全貌が明らかになっていないのですが、復活して欲しいところですね。
ボトムスが難しい…と感じたら、プレーンな黒の革靴に戻れ!
黒・細身・アンクルカット…などコーディネートの黒子に徹するようなプレーンなものから、チェックなどの柄、ワイドシルエットなどデザイン性に富んだボトムスが目立ち始めた現在のトレンド。
「スニーカー先行」とも言われるような、スニーカーが突出して目立つようなトレンドからの変化が迫られているような気もします(あくまで常識的なコーディネートを組むなら、ですが)。
黒のプレーンな革靴が、いつも以上に重宝するようになるかもしれません。
ボトムスに変化をもたらしたいなら、セットで靴も戦略的に考えていかなければいけませんね。
この秋は久しぶりに黒のプレーンな革靴を紹介したりしようかなと思っています。
また、いわゆる「黒スキニーデニム」などにも多数の質問を頂き需要があるのですが、そういったものはまた別の機会にお届けしようと思っています。