今、革靴は国産ブランドが面白い!ハイコスパブランドから、徹底的にこだわり抜いたずっと履きたい靴まで特集!奥深き革靴の世界、知られざるブランドも紹介しましょう!
このブログでは、「ドメスティックブランド」と呼ばれるブランドを紹介することも多いと思います。
いわゆる「ドメスティックブランド」とは、主に日本国内の洋服デザイナーズブランドを指して使われる言葉です。
セレクトショップのオリジナル商品(通称「セレオリ」)よりも1ランク2ランク高い価格帯ですが、シルエットや素材にこだわったアイテムを作っているブランド群を呼称したものです。
そして洋服だけではなく、「靴」の世界でもドメスティックブランドに当たるものはあります。
日本国内の靴ブランドと言えば、「リーガル」が有名ですし、ドメスティックブランド的なポジションでの有名所では「ミハラヤスヒロ」など、日本国内だけでも本当にたくさんの靴ブランドがあります。
実はここ数年国産の新しい靴ブランドがどんどん立ち上がったり、既存のブランドがより独自性を強めた靴を作っていたりと、かなり面白いことになっているんです。
今日はそんな中からいくつかブランドを紹介したいと思います。
ハイスタンダードラインも登場し、ますます広がりを見せるPADRONE(パドローネ)
ファクトリーブランド(他ブランドからの請負で靴を作っていた工場が、直接始めたブランドのこと)ながら、もはや国内の靴ブランドでも屈指の有名所となってきた「PADRONE(パドローネ)」。
人気の理由は、第一にクオリティと値段のバランス。
とてつもなく値段の高いハイクオリティなブランドか、値段が安くてそれなりか。
そうした二極化していた革靴の市場で、名だたるブランドのOEM(ブランドから委託を受けて製品を製造すること)を手がけてきた技術や質の高さを売りに
「ちょっと頑張れば買える」くらいの値段でコストパフォーマンスの良いアイテムを供給し続けることで急成長を遂げたファクトリーブランドです。
パドローネ PADRONE ダービーシューズ プレーントゥ 革靴 本革 黒/ブラック メンズ DERBY PLAIN TOE SHOES -BLACK-
パドローネと同価格帯のブランドで、OEMやコラボを手がけているが故に自社ブランドは最近供給がなかなか出来ないというところも出てきてしまいましたが
パドローネは自社ブランドも継続的に供給し続けた。
これがブランドとして成長できた要因だと思いますね。
やっぱりアイテムの供給が途絶えてしまうと、ブランドは忘れ去られてしまいますから。
もう1つのヒットの要因は、OFFにカジュアルシーンで履くことを念頭に、ドレスシューズやビジネスシューズに寄せ過ぎないデザインにしたことですね。
PADRONE パドローネ ダービープレーントゥシューズ JACK8(ウォータープルーフ)PU7358-2033-16A
2~3万円で買えるカジュアルな革靴と言うと、ワークブーツだったり、ちょっとボテっとさせた作りにしたり、あるいはもっと極端な変な形にしたりしがちなんですが、パドローネはドレスシューズの上品さを少し残して、あとは加工だったり、
細かな作りだったりでカジュアルダウンさせていて、このバランスが良かったんです。
今年からハイスタンダードラインという高級ラインも出来て、 ますます選択の幅が広がりました。
PADRONE パドローネ HIGH STANDARD LINE ハイスタンダードライン NICOLO ニコロ ダービープレーントゥシューズ PU8586-2005
LIBERTAS(リベルタス)
パドローネと同じように、日本の革靴生産のメッカと言える浅草で作られている靴ブランドで、ドメスティックブランドと深い繋がりがあるブランドが「 LIBERTAS(リベルタス)」です。
同名のYouTuberが立ち上げた洋服ブランドがありますが全くの別ブランド。
ドメスティックブランドのOEMやコラボレーションも手がけているためか、なかなかアイテムを見る機会が少なくなってしまいましたが、
オーソドックながら、平べったく潰したようなアッパーが特徴の定番外羽根短靴などは今でも流通しています。
出典 ttp://zozo.jp/shop/studiouslab/goods/18291396/?did=36462276
「libenis(リベンス)」というブランドもありますが、これはLIBERTAS(リベルタス)の靴を生産する時に出た革などを再利用したリーズナブルな価格のラインです。
こちらもドメスティックブランドを扱うセレクトショップなどで流通しています。
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何故この値段でグッドイヤーウェルトが?秘密はインドにあり!?London Shoe Make(ロンドンシューメイク)
純粋な国内生産ではないので、今回の記事への掲載は迷ったのですが、リーズナブルな値段でグッドイヤーウェルトの革靴を手に入れることが出来るブランドとして、「London Shoe Make(ロンドンシューメイク)」も紹介しておきましょう。
このブランドは日本企画、インド生産という仕組みを採っています。
日本において「なんでこんな安いの?」という値段で売られている靴は大体インドとかインドネシアとか、革靴の輸入に際して関税の掛からない協定が結ばれている国で作られています(これについては後述)。
ロンドンシューメイク London Shoe Make トラッド ウィングチップ
靴の底付け方法にはいくつかあり、1万円以下の安い靴はセメンテッド製法という簡単に言うと接着剤でくっつけただけの簡単な作りなのですが、ある程度以上の値段になると、マッケイ製法とグッドイヤーウェルテッド製法(さらにハンドウェルテッド製法)になっていきます。
マッケイ製法とグッドイヤーウェルテッド製法では、クッション性や修理可能回数などに差異があり、基本的にグッドイヤーウェルテッド製法の方が手間が掛かり工賃が高いため、3万円以下の靴ではなかなか見られないのです。
例えば上述したパドローネはほぼ全ての靴がマッケイ製法です。
尚マッケイ製法とグッドイヤーウェルテッド製法で出来た靴にはそれぞれ良さがあり、一概にグッドイヤーウェルテッド製法で出来た靴がマッケイ製法にあらゆる面で勝っているというわけではありません(これについては本当に誤解が多いところだと思います)。
しかし、両者を比べると一般的にはやはりグッドイヤーウェルト製法の方が値段が高くなるのは事実です。
リーズナブルな値段でグッドイヤーウェルテッド製法の靴を手に入れることが出来るのは、インド生産という部分が大きいでしょう。
製法も関係しますが、オーセンティックな見た目の靴が多いので、パドローネとはちょっと違った系統の靴を選びたい、という場合にも良いでしょう。
[ロンドンシューメイク] London Shoe Make オールレザー グッドイヤーウエルト 外羽プレーントゥ lsm 620 BL
コストパフォーマンスは一番?堅牢なアメリカ靴を思わせるWHEEL ROBE(ウィールローブ)
「WHEEL ROBE(ウィールローブ)」は、元々アメリカ製の革靴を輸入販売していた会社が立ち上げたブランド。
かなり新しい、出来たばかりのブランドですが、そういう背景もあって、かなりしっかりとした靴を作っています。
(ウィールローブ) WHEEL ROBE プレーントゥ クロムエクセル ブラック
ウィールローブの主力である短靴は、ホーウィン社の「クロムエクセルレザー」を使用した物になります。
ホーウィン社は世界で最も有名なタンナー(皮革を鞣し製造する業者)の1つ。
クロムエクセルレザーは同社の有する代表的なレザーの1つです。
牛脂、蜜蝋、魚脂等の4種類以上の油脂をブレンドして作られた独自のオイルを塗りこみ、通常の何倍もの時間を掛けて皮革に浸透させた牛革。
通常の「クロム」なめしというのは、クロム化合物を用いて手っ取り早く革を大量生産する方法なのですが、クロムエクセルレザーはこのような製法とは異なり、時間を掛けて作られており、通常のクロムなめしでは出すことの出来ない皮革の経年変化の余地を与えてくれます。
とにかくオイル分が多いのが特徴で、買ってからかなりの期間クリームを塗るなどの手間が要りません。
ブラッシングのみで十分です。
油分が水分を弾くので、防水スプレーも要りません。
この超極厚(通常のドレスシューズに使われる皮革のおそよ倍以上の厚み)のクロムエクセルレザーに、ダブルソール(通常1枚で作られるソールを2枚で作り、より重厚感と耐久性を出す)、さらにハーフラバー(いわゆるゴムの半貼り、レザーソール自体が摩耗するのを防いでくれる)が最初から貼ってあるんです…。
とにかくタフに、長く履けるように作られていて、もちろんグッドイヤーウェルト製法なので、何度もソール交換をすることも出来るのですが
果たして初めてソール交換をするのに何年掛かるかな…と思うほどです。
シューレースやヒールパーツなど細部もよくこだわっていますし、従来であれば最低でも5~6万円は覚悟しなければいけない中で、約4万円というのは
単純なコストパフォーマンス的に今最も優れた靴の1つなのではないか?と思いますね。
その堅牢さ故に、履いてみると写真以上に、ワークブーツのようなボリュームと重厚感を感じる作り。
そのボリューム故に正直私が普段推奨しているようなスタイルとの相性は良くないのですが、以上の理由から紹介しておきたいと思います。
今後覚えておきたいブランドですね。
(ウィールローブ) WHEEL ROBE モックトゥ クロムエクセル
関西発、唯一無二の自分で育てるコードバン!?NORIEI(ノリエイ)
関東出身ながら、関西にも縁のある私ナル男。
今でも頻繁に関西に赴くのですが、その際に「得をしているな」と感じるのが
関東ではあまり流通していないブランドやアイテムを実際に見ることが出来るところ。
そんな関東では滅多にお目に掛かれない、関西発の靴ブランドが「NORIEI(ノリエイ)」です。
ラストと呼ばれる靴の生命である木型から、デザイン、実際の靴づくりまで一貫して全て自社ファクトリーで行うという、珍しい完全なファクトリーブランド。
このブランドは姫路にある、日本で唯一コードバンを供給出来るタンナー、「新喜皮革社」から供給される、通常は決して出回ることがないと言われる「素上げのコードバン」を用いて靴を作っています。
(新喜皮革社は、前述したウィールローブにもコードバンを供給しています。)
素上げというのは、本来最終工程で行われる磨き上げる作業を行っていないということ。
コードバンは、馬の馬の臀部(お尻)の一部から取り出される皮革。
かなり強引に説明すると、馬のお尻の皮の中にあるコードバンの層を、削って削って探し出すことによって見つかる皮革なんですね。
だから本来コードバンの表面はスエード(裏革)のような毛羽だった質感なんです。
これが、磨き上げの行程や染色を経て、毛が寝て、あの宝石のような輝きに変わっていくわけです。
NORIEIのコードバンの靴は、少しずつ少しずつ、オイルなどで手入れされることによって毛羽が寝て、コードバンのツヤを出していくという
まさに「自分で育てるコードバン」。
そんな「体験」が出来る唯一無二の靴なんですね。
希少なコードバンを使っているのでかなり高価ですし、一番在庫が充実している神戸にあるショップ「ONETENTH(https://onetenth.jp/)」さんが
「しっかりと足に合ったサイズを選んで頂きたい」という方針で通信販売を行っていないため、関西に住んでいる方以外はなかなか入手は難しいと思います。
ただ、そんなコードバンを育てる楽しみを靴以外で楽しめるのが
靴と同じコードバンを使った「シューホーン」。
出典 ttps://shop.onetenth.jp/?pid=82627270
これはコードバンで作られたシューホーン、いわゆる「靴べら」ですね。
私は「靴べらを使わないと履けない革靴しか履いてはならない」と基本的には思っています。
靴べらを使わずに履けてしまう革靴というのは、どう考えても緩すぎるのです。
スニーカーと異なり、革靴は自分の足にフィットさせて履くものなので、シューホーンは必須。
そこで持ち歩きに便利な携帯型のシューホーンを持つことをオススメしたいのですが、
このシューホーンはNORIEIの靴と同じく、素上げのコードバンが使われており
使えば使うほど、毛羽が寝てツヤが出てきます。
グレーは使い込むことで濃いブラックに、ナチュラルは濃いキャメルに変化していく
中は固い金属で出来ているので、シューホーンとしての機能はしっかりと果たしてくれます。
金属製のシューホーンは、1つ間違うと靴を傷つけてしまいますが、これなら表面はレザーなので安心。
カバンの中に入れても、何かを傷つけてしまうことがありません。
キーホルダーのようにしても良いでしょうね。
ホテルや洋服屋さんなど、靴を脱ぐ場面でも必ずシューホーンが置いてあるとは限らないので、革靴で出歩く時はカバンに忍ばせています。
お値段もレザーで出来たシューホーンとしては特別高くは無いので是非オススメしたい逸品です。
気軽に、実用的に、コードバンを育てる楽しみを味わえますよ。
出典 ttps://shop.onetenth.jp/?pid=82627221
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日本人の足型を徹底的に研究して作られたオーセンティックシューズ、MAKERS(メーカーズ)
今、国産の革靴ブランドを語るなら、このブランドを避けては通れない。
それが「MAKERS(メーカーズ)」です。
(メイカーズ)Makers PLANESHOES BLACK makers67387
前述のホーウィン社のもう一つの代表的なレザー「シェルコードバン」を使用していることから、同じコードバンを使用している「オールデン」とやたら比較されたりしていますが、
この靴の本質は徹底的に日本人の足と、履き心地にこだわったところにあります。
ワイズは日本人に甲高が多いことから幅広の物を使用し、かつ踵(カカト)部分を小さく作ることで日本人の足にしっかりとフィットするように作られています。
このカカト部分が大きすぎて、きちんと足に付いてこない靴、というのはやはりどうしても長時間の歩行には向かないのですが、この靴はそこがよく考えられています。
その履き心地の良さと、オーセンティックなデザインに魅了され、スニーカー以外ではこの革靴しか履かない(履けない)というファンを増やし続けています。
入荷してもすぐサイズ欠けしてしまうので、なかなか入手が難しい靴でもあります。
ベイビーカーフ(生後間もない牛の革)を使用したプレーントゥのモデル、「REGINA」。
同じくベイビーカーフを使用したブーツ「REX」
フランス、 Du Puy社のサドルカーフを使用したサイドゴアブーツ「 VITTARIA」
メンズファッション メンズシューズ レザーシューズMaker's メーカーズ サイドゴアブーツ VITTARIA
CHARLES F. STEAD社のスーパーヌバックを使用したMILOK限定モデル
MAKERSのサイドゴアブーツは、こんなにフィット感のあるサイドゴアブーツ(靴紐やジップがなく、サイドのゴムの伸縮によって足にフィットさせるタイプのブーツ、最もミニマルな外観の靴)があるのか?と思ってしまう逸品です。
海外産の10万円超えのジップブーツなどは足にぴったりとフィットするものがありますが、国産で、サイドゴアで、この値段で…っていうのはあります。
ブーツが足にぴったりとフィットしてくれると、ボトムスとの繋がりがスムーズになってよりスタイリッシュなのと、綺麗にシワが入ってくれるというメリットがあります。
出典 http://malutan36.exblog.jp/25711106/
こういうシワの入り方をしてくれるブーツ。
間違いなく今国産で一番熱い靴ブランドの1つですね。
究極の「形」を持ちながら、歩き心地も最高なforme(フォルメ)
「良い靴」の定義は、本当に人によって様々だと思います。
コードバンなど、とにかく希少な良い革を用いた靴が最高だと言う人。
何より履き心地だと言う人。
でももし、高いお金を投資するならやっぱり「見た目」も大事…。
というか、見た目が良くないと、実際に見にいってみようとか、足を入れてみようとか
思わないものじゃないでしょうか?
私が一目惚れした見た目を持つ靴、それがforme(フォルメ)です。
既存の革靴から全く異なった、奇をてらったデザイン、という形で差別化を図っているブランドなら山ほどあります。
しかしフォルメは決して奇をてらうわけではなく、あくまで既存の靴の各部を洗練させることで、革靴としての究極のフォルムを追求しているんです。
formeの靴は、 アーチと呼ばれる踵から土踏まずの部分に掛けてを立体的にシェイプさせ、そこからトゥ(つま先)までを伸びやかに繋げています。
これにより、正面、真上、斜め…どこから見ても美しいフォルムが出来上がるんです。
捨て寸が長めに取られているからこそ出来る形ですが、いわゆるロングノーズと言われる靴だったり、ポインテッドトゥ、はたまたトンガリ靴と呼ばれてしまうような靴とは全く違います。
トゥの先に収束するように尖らせているわけではなく、あくまで自然に、丸みを帯びて繋がりのあるフォルムを形成しているのです。
丸みを使って、シャープさを表現する…。
そんなことを全く矛盾なく、あくまでもナチュラルに表現している。
このように細部に至るまで、緻密に計算された、徹底的にフォルムにこだわった靴が作れるのは、デザイナーが木型からデザインしているから。
かつては自分自身で靴を作っていた方だそうで、だからこそ職人さんとのコミュニケーションも密に作りたい靴を作れるそうなんです。
formeの靴は、ところん丸み、立体的に作ることにこだわっています。
それはソールの裏側までそうなのです。
立体的にしてしまうと生産性は悪くなるのですが、足は立体的であり、平面的に作るとどうしても履き心地が悪くという考えの下で、こうした形へのこだわりが実現されています。
formeの靴は履いてみると、何かに持ち上げられているような、そんな独特の履き心地を感じることが出来ます。
どこかふわふわとしていて、歩くのが心地良いと感じてしまうほどなんですね。
細身に見えたり、捨て寸が長いそのデザインから、履き心地悪いのでは?と思ってしまうんですが、甲が高い日本人向けに甲は高く、そしてそれによってぐっと前に足が伸びることから捨て寸は長く…と履き心地の面から見ても合理的なんですよね。
今最もオススメしたい靴ブランドの1つ、「そろそろ良い革靴が欲しい…」と思っている人には是非選択肢に入れて欲しいなあ。
一度見たら絶対に惹かれるその形、足入れをしたら絶対に欲しくなる靴だと思うんですが、関東圏でもごく限られたお店でしか扱っていないので
入手するのが難しい靴ではあります。
formeの詳しい解説や小物の紹介などは今別の記事を執筆しております。
そちらも是非御覧ください。
ヨーロッパとの関税撤廃で、どうなる日本の革靴!?
ここまで、一部を除いて日本国内で生産されている革靴ブランドを見てきました。
日本の靴を作る技術と言うのは、実はものすごく高いんです。
靴の本場と言われるような国からも日本にわざわざ靴作りを見に勉強に来るそうですし、実際に製品を見てもそのクオリティの高さは分かります。
正直日本製の6万円くらいの靴も、物によっては10万円以上する海外の靴に負けていないと思うこともあるのですが、
やっぱりどうしても「靴≒舶来品」というイメージがあるのか、
インポートこそが本物
というイメージを持たれているのも確かです。
取扱店の方以外は、アパレル店員の方でもこのformeとかMAKERSの名前すら知らない、なんてことも普通なので、そういう意味では有名インポートのようにステータス的な価値は全くと言っていいほど無いので
インポートととの価格差も当然という部分もあるのですが…
なんというか、日本製だからと言って最初から選択肢に入れないのは、すごくもったいないと思うんです。
それは値段的なコスパっていう意味でもそうですし、formeみたいなインポートには絶対に無いような靴を見逃してしまう、という意味でもあるし。
ロンドンシューメイクの項で少し述べましたが、一部の協定国を除いて、革靴には非常に高い輸入関税が掛けられています。
そして、日本とEUとの間で、この皮革製品に対する関税が段階的に下げられる協定が先日結ばれました(日本とEUのEPA協定)。
時間は掛かりそうですが、最終的には撤廃されるそうです。
まだ国内で国会の批准を得る必要があるなど実現に向けてハードルはありますが、
近い将来、日本の靴ブランドはイタリアなど本場ヨーロッパの靴とのさらに激しい競争に晒される可能性があるわけです。
協定が批准されれば、確実に今より安く、インポートの革靴が入ってくるわけですから
日本の靴ブランドはその時までに、独自のブランド力をもっともっと上げる必要があるでしょう。
関税がかからない分安い、というだけではもう選択肢として残れないわけですから。
でもここ数年、国内靴ブランドも独自性を持った発展をしていると感じるところなので、単にコスパが良いというだけではない、
「ここの靴じゃないと、ダメなんだよなぁ…」
と言わせる、独自の付加価値をもった靴がどんどん生まれていくのではないかと期待したいですね。
靴は履いてみないと分からない…選択肢を持つことの大切さ
実はカジュアルな場面で履く革靴を選ぶって、すごく難しいと思うんですよね。
1つは、デパートの靴売り場などに行くとビジネスシューズやドレスシューズはたくさん並んでいるのに、カジュアルな場面で履くような靴って
どこか崩れ過ぎた、言い方が適切かは分からないのですが「変な靴」しかなかったり。
だから特定の数ブランドしか名前が挙がらなかったり、あるいはめちゃくちゃ高いインポートばかりが紹介されたりといったことになるのかなと思います。
そんな事情もあってか、日本のカジュアルシューズ市場では特定の商品が一定期間ドーンと売上を伸ばし、そして終息していく…ということを繰り返しています。
それってすごく歪な構造だと思うんですよね。
あとは、これは別にカジュアルな場面で履く革靴にかぎらず自分の足に合う革靴を見つける難しさ。
基本的に、高い靴ほど木型や皮革にこだわっているので、履き心地の良い靴に巡り会える可能性は高くはなりますが、やっぱり自分の足に合わせるとなるとまた別の話で。
シューホーンのところで解説しましたが、私はシューホーンを使わないと履けないようなキツめの革靴を、徐々に徐々になじませて自分の足にフィットさせていくのが大事だと思っていますが
それでも靴によってなかなかなじまなかったり、逆にすぐに馴染んでしまって緩さが出てしまったり(その解消法はいつか記事にしたいとは思います)。
本当に自分の足に合った革靴を見つけるって難しいものです。
私の場合は甲もですが、踵(カカト)にそのポイントがあると最近分かってきたのですが、それも人によって異なりますし
国産ブランドが日本人の足を研究して木型から作っていたりするのも事実ですが、それでも合わない人は合わないものです。
靴は◯万円以上の物を買わないとダメだよ、なんてよく言ったりしますが、私はそうは思わないですし、そういう意図で今回も書いたわけではありません。
安い靴も高い靴もたくさん試してきましたし、服もそうですし、何事も経験です。
高い靴を買ったからといって、それでもう人生における靴選びが「上がり」になるわけではありません。
私は7万円出したブーツはすぐに売ってしまって、それを売った4万円で買ったブーツを未だに愛用していたりします。靴は、履いてみないと分からないものです。
靴ってずっと一緒にいるので愛着が湧くのか、修理屋さんに持ち込まれる靴もそんなに高価な物ばかりではなく、これなら新しい物を買ったほうが…っていうケースも多いらしいんです。
でもやっぱりそれくらい自分の足に合った靴に巡り合えたら、買値は関係なく修理して履きたいものなんですよね。
自分がこれだ!と思った靴を履くと、その日の気分も全く違いますし、ケアも含めて楽しくなるものです。
靴はほんと、履いてみないと分からないですから、色々試してみて欲しいんですよね。
今回紹介した中には「高すぎてとても買えないよ!」という靴もあったとは思うのですが、革靴は洋服と違って、そのシーズン限り、その年限りしか買えない、なんてことは基本ありません(作られては消費されていくタイプの靴もありますが…)。
自分の欲しい靴を何年も待っている人もいますし、すぐに買う必要なんてありません。
私も欲しい靴が出来ても、すぐに即決で買うっていうことは無くて、少なくとも一ヶ月は悩みますし、サイズが無ければ何ヶ月でも待ちます。
服よりも多分長い時間を一緒に過ごすアイテムだからこそ、出会いも大切にしつつ、じっくり選びたいものですね。
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