三回目のコラボ!ユニクロ×アンダーソン2019SSは、これまでとは違う意味で滑っている…?このアイテムだけとりあえず見ればOK!
3月8日に発売されたのがUNIQLO & J.W.Anderson 2019SSコレクション。
今回で三回目となるデザイナーズコラボですね。
しかし盛り上がっているとは言い難いですね…。
前提としてJWアンダーソンとユニクロって、非常~に相性が悪いと思っていて、正確な売上などの数字は置いておいて、アンダーソンらしい攻めたアイテムがユニクロコラボでも評価されて売れまくった!みたいなことはおそらく無さそうに思うんですよね。
少なくないアイテムが投げ売り状態まで割引されてしまうイメージ。
伊勢丹メンズ館で見るアンダーソンのアイテムとは全くの別物がユニクロには並んでいる感じもするし…。
私もこのブログでユニクロ×JWアンダーソンのアイテム紹介はしていますが、オススメするアイテムって「そこまでアンダーソンらしくはない」っていうようなアイテムばかりだったと思います。
たまたま、ユニクロにおいてアンダーソンが提供するアイテムの中に、ユニクロという文脈にハマったアイテムが良作になるというイメージで。
おそらくアンダーソンの狙い通りというわけではないのだろうなと…。
今回のUNIQLO×J.W.Anderson2019SSを大雑把に眺めて見たときに、やっぱり全体としては「これは滑ってしまっているな」という印象を受けました。
ただそれは、アンダーソンらしさを全開にした結果、ユニクロの提供するクオリティでは貧相な出来になってしまい、結果現実的なアイテムとしては受け入れられない…というわけではなく。
なんとなくの想像ですが「ユニクロではアンダーソンらしいアイテムはウケないから、ユニクロを買う層にウケるようなアイテムを作ろう」と安易に迎合するようなデザインをしてみたら、ユニクロを買う層ともズレたものばかりになってしまったというような感じ…。
どれも、いくらユニクロとはいえ安っぽ過ぎる印象になりすぎてしまっていて、攻めたデザインと言うよりは「部屋着」にすら見えてしまうものが多いというか。
アンダーソン側のマーケティングがズレているのか何なのか…。
インスタグラム「映え」じゃないですけど、今写真だと洋服の質的な部分っていくらでも誤魔化せてしまうと思うんですけど、正直実物を見た時今回のアンダーソンの質は良くは見えません。
あと純粋に日本人と相性が悪いアイテムが多いんですよ。
サーフ系を狙ったようなアイテムが多いですが、これって日本人の体型ではシンドいことが多いです。
何故か量販店で売られるような10代向けのブランドにはサーフ系のものが多く、そのイメージから安っぽい印象になってしまっているのも大きいですね。
キャッチフレーズの「英国の革新と伝統」を感じさせるアイテムはほとんど無いですよね。
シャンブレー、チノ、シアサッカーなどの軽い素材を使ったテーラードジャケットも、平均的な日本人をカッコよく見せるにはちょっと足りないと思います。
今回のUNIQLO×J.W.Anderson2019SSコレクションで本当に見るべきアイテムは、たった1つしかないのでは?と思いました。
J.W.アンダーソン2019SSは、このフーデッドコートだけでチェックすればOK!
で、今回その唯一見るべきと思ったアイテムがコレです。
90cm前後と、今の基準でいうとミドル丈に近いようなフーデットコート。
ただニュアンス的にはブルゾンのノリでも羽織れるかなと思います。
感覚的にはブルゾンとコートの中間くらいのアイテムですね。
一応リバーシブルで、フード裏と、前立部分で裏面の色が見える、みたいな仕掛けになっています。
で、これがすごく良かった…。
オリーブ→ネイビー→ブラックの順で試着したんですが、
オリーブ「まあ悪くないけど、裏地のグリーンがなあ…」
→ネイビー「配色的には悪くないけど、ちょっとポップ過ぎる気も…」
→ブラック「これだ!!」みたいな感じでどんどん評価が上がっていきました。
素材は綿60 ポリエステル40でかなりバリッとしたハリ感のある素材。
裏地のないブロックテックみたいな感じですね。
リバーシブルの関係でブロックテックは採用できず、ブロックテックの透湿防水性とか防風性みたいな機能をオミットしているのかと思いますが、それが良かったようにも思います(撥水性だけはあるようです)。
よりファッション的に使いやすいアイテムになりました。
ハリ感があるのでストンと落ちるボディ、ラグランからのアームの落ち具合なども良好。
もちろんウールコートなどの落ち感とは全く異なりますが、ユニクロのアウターにしては、トレンドのゆったりとしたシルエットが綺麗に出てくれます。
(ただこのハリ感故に、着心地が良いとはとても言えませんが…。)
ブラックに関しては裏地のベージュの見え方がいやらしくないアクセントになっていて、あざとくない程度に可愛いらしくもあり、このアイテムの付加価値になっています。
真っ黒のアウターって、単体だとキツく見えすぎてしまったりしてインナーでの工夫が必要だったりしますが、このアイテムはベージュのアクセントによってかなり黒のイメージが単体でも緩和されていますね。
今季コート類に関しては豊作と言える各セレクトショップのオリジナルですが、ブルゾンはなかなか良いものがないんですよね。
ブルゾンとコートの中間的なアイテムではありますが、春アウターまだ買ってないとか、セカンドアウター的な使いやすい物がほしいと思っている人は、これ是非チェックしてほしいなと。
今ミドル丈が新しい需要を彫り起こりしている感じがすごくするので、そういう意味でもこれは見てほしいと思いました。
リバーシブルで使えるか?と言われると、うーん…。
ブラック×ベージュだと使えなくは無いですが、なんかこちら側はオマケ感しかしないですし、ジップも左右逆になるしであんまり使わないんじゃないでしょうか?
リバーシブルコートは、悪天候時に裏面にして表面が汚れるのを防ぐ、という役割があったりするのですが、ベージュだとそれも無いですしね。
ただリバーシブルの副産物として、脱いでもユニクロのタグが見えません。
まあ気分の問題なのですが、コートを掛けておいたときに「ユニクロ!」と堂々とタグがあるのは嫌な人もいると思うので、その点は嬉しいんじゃないでしょうか。
着心地が良いとは言えないという点を除けば、十分合格点が与えられるフードコートだと思います。
アンダーソンのロゴは、ボタンとポケットの刺繍程度に抑えられている
アンダーソンの遊び心が上手くユニクロの文脈に合致した感じがありますね。
初年度のアンダーソンらしさを前面に押し出したトレンチコートなどは、やっぱり全く受け入れられなかったですから。
これくらいが、ちょうど良いバランスなのかな。
いやコレ駄目だろ…と初見では思ったんですが、服はやっぱり着てみないと分からないものですね。
その他では、リバーシブルリブブルゾンやエクストラファインコットンブロードスタンドカラーシャツは及第点が付けられると思います。
ただその他はちょっとなあ…。
うーん、今回はちょっとアンダーソンが果たしてユニクロで何をしたかったのか?が正直見えなかったコレクションでしたね。
冒頭で述べたように、今までの反省から「安パイ」を狙ったのかは分からないのですが、「シンプル」というよりは単に「安っぽい」アイテムが量産されている気がしました。
これは同じデザイナーズコラボであるユニクロUと比べると明らか。
結果として、ある程度値段のするアウターが一番良いという結果に…。
おそらく一番多くあるであろう、リーズナブルにシャツやTシャツなどのいわば消耗品的なアイテムが欲しい、という需要には全く応えられていないのかなと思います。
これは定価で売るのはかなりシンドいだろうな…と。
逆に言うと、ユーザーとしては見るべきポイントが絞りやすいとも言えるかもしれません。
フーデットコートだけは羽織ってみると、お!?となるアイテムなので、ちょっとチェックしてみて欲しいですね。