23年のadidasは何かが違う…SAMBA(サンバ)人気沸騰、再注目COUNTRY(カントリー)、秘蔵っ子Wales Bonner(ウェールズボナー)、本革完全復活のSTAN SMITH…adidasの逆襲!
今年2023年は、adidasにとって重要な年になるかもしなれい...。
というのも、スニーカーシーンにかなりの地殻変動が起こっているシーズンだからです。
気になるトピックを一つ一つ見ていきましょう。
adidas古参が戸惑うほどのSAMBA(サンバ)人気沸騰
adidasといえば、超有名どころのスーパースターやスタンスミスをはじめ、キャンパス、ガゼル、カントリー、タバコ…などなど、「オールドモデル」として数々の名作アーカイブを持っています。
その中の一つが、SAMBA(サンバ)。
SAMBA(サンバ)は、サッカーのトレーニングシューズに由来するスニーカー。
adidasが保有するクラシックモデルの中でも最古のものの1つです。
adidas SAMBA OG B75807
このサンバが今、凄まじい人気。
別注モデルやスペシャルなモデルなどではなく、あくまでもインラインモデル的な存在。
それでも毎回抽選販売になるという状況にあります。
SNSによる人気、Z世代に人気...などという文脈で語られがちですが、人気の傾向的にはもう少し広く捉えて見るべきかなと。
サンバは今スニーカーの「最適解」化していると分析することができます。
2010年代後半は、シンプルさを潔癖なまでに求められるトレンドでした。
ある意味「格好付けてはいけない時代」と言っても良かった。
少しでも尖ったものや過剰なものは淘汰されてしまった時代なのです。
ロゴTはロゴが要らない、カーゴパンツはポケットが要らない、と言われてしまったり。
それは洋服だけに留まらず、髪型などファッション全般に幅広く言えることですね。
丸みを帯びたマッシュヘア一辺倒になってしまったり。
2020年以降その傾向に少しずつ少しずつ変化が見られていて、ロゴTやカーゴパンツが復権し、マッシュヘアからパーマを掛けて大幅な変化を求める人が急増中。
古着そのものや「古着的」なもの、それに付随する価値観も幅広く浸透してきました。
ある意味でファッション的な「過剰」を取り戻しつつあり、半ばカオスな状況でもあります。
それを足元で統合するような存在がサンバ。
一つ間違えると運動靴となってしまうような質感(スニーカーって本来そういうものですが)ながら、そこに気取らなさや抜け感を感じさせることが出来るわけで。
やや過剰になってきたトレンドファッションで足元までキメキメだとちょっと頑張っている感じがしてしまう。
だからサンバくらいがちょうど良い、となっているわけです。
普通の人がふらっとアディダスの店舗を訪れて、SAMBAを買っていくことはまず無い、というくらいの通好みな感じもまた良いですし。
古着屋の店頭が一番似合うというか。
少し前は、アトモスの社長が「原宿歩くとNIKEばっかりで、adidas全然居ないじゃない!」と嘆いていましたが。
今は逆で、足元サンバをよく見かけるし、そういう子は大抵ファッションにもこだわりありそうな感じなんですよ。
もちろんそうやって「高感度の証」みたいな存在になりつつありますから、そこに高揚感を感じる人もいれば、逆に「流行りに乗っているようで嫌だ」と嫌悪感を感じる人も居て、それはどちらも悪くないのですが。
少なくとも、「あのサンバがそんなことになっているの?」ということは知っておくべきでしょう。
SAMBAは、カラーリング違いなどのバリエーションモデルもすぐに売り切れるほど人気ですが、あくまでもオーソドックスな黒、そして白が人気。
前回販売分も完売で、次の販売(おそらく抽選)が待ち望まれる「SAMBA OG 」、そして「SAMBAADV」(SAMBA OGを「アディタフ」を使用してスケボー仕様にマイナーチェンジしたもの、見た目的にそう変わらない)などが人気です。
adidas SAMBAADV GW3159
これまでのスニーカーフリークの傾向だと、オーソドックスモデルより別注などレアなモデルで差別化を図ろうとするものです。
しかしSAMBAはあくまでもオーソドックス、レギュラーカラーが人気。
レアモデル、レアカラーでドヤ!っていう文化ではないんですね。
レアレアと希少性ばかりを追求して、レギュラーモデルをまるで価値が無いものと見做すような昨今のスニーカーブームへのカウンターとも言えるSAMBA人気。
ですが、人気過ぎて抽選になってしまうというのも面白い現象ですね。
昨日から、SAMBA OGのシンプルなカラーバリエーション、白ベースに緑の三本線(IG1024)と赤の三本線(IG1025)が発売されました。
こちらも抽選ではあったものの、店頭ではまだ余裕ありましたよ。
adidas SAMBA OG IG1024
かなりベーシックなカラバリだけにどうなるかな?と思いましたが、やはりSAMBAは白黒が絶対的な人気なのかな。
これも履いてみた感触だと、SAMBAの持つ抜け感や雰囲気を限りなく維持しつつ、爽やかさも加えられるカラーに思ったのですが。
さらにさらに、明日7日からは「高級版」SAMBAが発売。
SAMBA DECON IF0641
その名も「SAMBA DECON」。
かかとを踏んで2wayで楽しめるほど柔らかさなプレミアムレザーを使った特別なSAMBA。
前述したように、レアリティやカラバリが人気になるわけではないサンバですが、これはOGなどに限りなく近いデザイン。
3万円弱という価格がストッパーにもなり、手に入りやすそうですし、OGなどが手に入らない、かといってフリマアプリなどで買うのもちょっと…という人には良い入手機会となるでしょう。
adidasのアプリCONFIREMEDでの発売となるようですが、すでにレギュラーモデルとの比較画像が公開されています。
昔のフランス製ヴィンテージadidasのようなシャープ感のあるモデルになりそうです。
いやーこれは楽しみですね。
クラシックモデルに注目が集まる中、再注目COUNTRY(カントリー)、銀ピカ即完!?
SAMBA人気を受けて、早くも「サンバの次はなんだ?」という動きがあるのですが、adidasの「三本線」クラシックモデルはたくさんありますから。
個人的には2シーズン連続で良モデルが登場していTOBACCO(タバコ)に期待しているのですが、果たして次シーズンも登場するのかは不透明。
またSAMBA派には「ただ三本線なら良いってものじゃない」という気持ちもあるでしょうし。
SAMBAの次、あるいはSAMBAが手に入らないこと、SAMBA流行り過ぎてて履けない等、SAMBA難民の受け皿になりそうなのCOUNTRY(カントリー)です。
adidas COUNTRY OG IF2856
カントリーもヴィンテージが人気の「三本線」スニーカー。
サンバとは全く異なるデザインながら、レザーの質感などの共通項を持つモデルです。
このカントリーの正統派現代版「COUNTRY OG」が先月発売。
こちらはカラバリとして「銀ピカ」が用意されて、即完売。
サンバに比べるとまだまだ認知度が低いですから、まずはこうした「映える」カラーでインパクトをもたらして通常モデルにその流れを波及させていく、というのがひとつのパターンになりそう。
おそらくカントリーはまずはレディースから人気になりそうですね。
秘蔵っ子コラボ、Wales Bonner(ウェールズボナー)がadidasに新風をもたらす
カニエとの訣別によって、一時代を築いYEEZY BOOST(イージーブースト)をはじめとするイージーとのコラボを失ったadidas。
イージーほどの規模感でadidasを支えるようなコラボレーションは、今後そうそう現れないでしょう。
その痛手は新たなコラボだけではなく、サンバなどのオールドモデルのレガシーで少しずつ埋めていくしかない状況。
ただadidasにとって今後も重要なコラボになりそうなのがWales Bonner(ウェールズボナー)です。
22年も、非常に深い印象を残した英国人女性デザイナーとのコラボ。
adidas Originals by WALES BONNER 22SS Country x Wales Bonner
adidasでありながら、adidasには無いデザイン性、特に色使いのセンスが光るこのコラボ。
今年は話題のサンバが選ばれました。
adidas Originals by WALES BONNER WB SAMBA NUBUCK / ECRTI
ウェールズボナーは、21年にもこの「デカベロ」のサンバをベースにしたモデルを作っていますが、今回はそれをアップデート。
前述の通り、現在のサンバブームはOGの白・黒、オーソドックスなモデルこそが一番支持を集めており、レアカラー・レアモデルを誇るといった文化ではないのです。
対してこのウェールズボナー版サンバは、もはやサンバであってサンバでは無い…そんなモデルでしょう。
サンバ人気にあやかるというより、サンバをキャンバスにして、少しだけはみ出したようなモデル。
それでいてリアリティが全く無いわけでは無い、そのまとめ方こそがウェールズボナーのセンスでしょう。
デカベロとイエローのスリーストライプス(三本線)に印象が引っ張られるものの、ベージュスエードのアッパー×ブラウンのソールはあくまでシックな印象の配色。
意外と?白っぽいベージュスエードでしたね。
イエローのシューレースを付属のベージュシューレースに替えれば、もっとグッとシックになりそうです。
跳ね上がったようなこのベロ、どうするの?と思ったのですが、スソが広いパンツで何とか隠すようにするより、この跳ね上がりを活かしてあげるようにする(スソをいわばインするように履く)と良いのかなと思います。
ショートパンツで単体で映えさせても良いですけどね。
ただこれ春モデルながら、完全に秋冬のカラーリング、趣なんですよね。
即・完売だった割には、二次流通の価格も落ち着いているので、秋までに安く買えるタイミングもあるでしょう。
もう1色はド派手シルバー。
シルバーの方は、三本線をクロシェ編みにしています。
これはウェールズボナーが得意とするアクセント。
ベージュの方は、adidasや取扱店では即完売でしたが、実はZOZOとかで簡単に買えたんですよ。
対してシルバーは本当に入手困難でしたね。
普通の人は履けない、そんなモデルですが、それはそれ。
まずは銀ピカでインパクトを残す…これがadidasの新方程式になるのかな…。
今回春のコレクションは発売日の前日夜に発表されるなど電撃的なリリースになってしまいました。
事前抽選なども無かったので、アンテナを張っておくというよりは、ウェールズボナーという存在を予め認識しておかなと後手後手になってしまう。
秋にも展開があるのかは分かりませんが、ウェールズボナー、必ず覚えておきましょう。
adidasのブランド価値をさらに引き上げるようなコラボです。
本革完全復活のスタンスミス、値上げ前に良作モデルを再チェック!
2年の時を経て、本革のスタンスミス「LUX」を復活させたadidas。
この流れは継続的なものとなり、まずは3色でスタートしたLUXは現在5色まで増加。
adidas STAN SMITH LUX HP2201
さらにセレクトショップ別注でも続々とLUX、つまり本革仕様のモデルが登場しました。
さらにさらに先月新規にLUX3カラーが追加され、本革モデル継続は堅持されそうな展開になっています。
adidas STAN SMITH LUX HP2201
私のスタンスとしては「サスティナブルレザーのスタンスミスも悪くは無かったけれど、本革が出るならそれに越したことはない」というもの。
この流れにはホッと一安心なのですが。
しかし…実は新規に追加された3カラーのLUX、および既に春に発売されており、最近再販となった初期の3カラー、グリーン(HP2201)やブラック(HQ6785)、オールブラック(HQ6787)といったカラーは値上げとなっています。
税込16500円→18700円、税込ベースで2200円の値上げになります。
これが一連の円安を背景とするものなのかは分かりませんが、既存モデルが値上げとなっているように、何か素材がパワーアップしたなどの事情では無いでしょう。
となると、旧価格の良作モデルが俄然魅力的に映ってくるものです。
注目はやはり今春のセレクトショップ別注モデル、トゥモローランド別注LUX(ID2565)、EDIFICE別注LUX(ID2566)。
adidas STAN SMITH LUX ID2565
adidas STAN SMITH LUX ID2566
この2つは非常にレベルが高かったモデルですから、スタンスミスが欲しかった人はこれらの在庫があるうちにマークしておいたほうが良いです。
EDIFICE別注なんかは気付けばかなり在庫が少なくなっています。
adidasサイドにはかなり在庫あったはずなのですが、売上1位になったりととにかく好評だったモデルですからね。
adidas STAN SMITH LUX ID2565
adidas STAN SMITH LUX ID2566
いやー今年のadidasは、確実に何か変わりつつある、そんな気配です。
値上げは気になるものの、ユーザーが欲しいものを出してくれる…そんな嬉しい年になっていますね。
後半戦も目が離せませんよ!