定番品以外が一気に高級化、確固たるブランド力を確立しつつあるCOMOLI(コモリ)はどこに向かう?
COMOLIはベーシックなアイテムを作るブランドではなく、作る服がベーシックになるブランド!?
日本には数多くのファッションブランドがありますが、そんな国内のブランドの中でもデザイナーの思想を前面に打ち出して、デザイン・品質に徹底的にこだわった高価格帯のブランドを俗に「ドメスティックブランド(略してドメブラ)」と呼びます。
そんなドメスティックブランドの中でも、今や押しも押されもせぬ人気ナンバーワンのブランドと言って良いのが、COMOLI(コモリ)です。
COMOLIは、ヴィンテージウェアの再構築を得意とし、独特の雰囲気がありながら、あくまでもベーシックの範疇にあるアイテムの数々を送り出して人気を獲得してきました。
いや、もしかしたらCOMOLIが出すアイテムが現在のベーシックになっている、と言えるのかも知れません。
例えば、ブランドの名を冠する「コモリシャツ」。
決してビッグシルエットではなく、それでも身体のラインを拾わないように各部ゆとりや「間」を取った、ゆったりとしたシャツです。
そして横から見たときはスソが広がるように見える…という。
こうしたシャツは今でこそ増え、「ベーシック」なものとなりましたが、それはコモリシャツの影響も大きいでしょう。
以前は身体に寄り添い、ラインをとにかくシャープに描くシャツこそが至高とされていたわけですから。
ブランドのもう1つの看板アイテム「タイロッケンコート」も、以前は「デカいな!貫禄あるな!これはちょっと難しいぞ…」と思ったものですが、今ではそんなボリューミーなサイズ感すらもスタンダードに近くなっていたりします(未だに私は抵抗がありますが…)。
明らかに「COMOLI的な服」を求める人は増えましたし、「COMOLI的な服」を作り始めるブランドも増えました。
それは時代のベーシックに、COMOLIが作る服たちがなりつつあるからでしょう。
COMOLIの定番アイテムにある変化が…本当の「定番化」と、新規のアイテムは軒並み高額化へ
そんなCOMOLI、これまでは定番アイテムであるコモリシャツやタイロッケンコートにシーズンごとに「シーズンカラー」と呼ばれる、そのシーズンだけのいわば限定カラーなどを設けていました。
定番品ながらも、色や素材で変化を付けてブランドのファンたちを楽しませてきたのです。
これはCOMOLIに限らず、アパレルブランドでは広く行われている試みです。
そのブランドのファンたちは、「あの年のあのカラーは良かった」などと語り草にするわけですね。
これを最近はやらなくなりました。
コモリシャツは、本当に定番であるホワイト、ネイビー、サックスブルーの3色での展開が続いています。
タイロッケンコートも、ベージュのコットンギャバ素材のもののみ、という展開に。
とは言えその定番色だけになったコモリシャツも、先週末発売にも関わらず、取扱オンラインストアにアップされ次第すぐに売り切れるという有様なのですが…。
(とは言え、まだ在庫があるお店もあるので、下のオンラインストア一覧で探してみてください)
そして、定番品が「本当の定番化」をした一方で、定番品以外のアイテムが一気に高額化しました。
元々コモリシャツは税込み24000円ほどと、普通に考えれば十分高額な部類ですが(シャツが24000円!?となる人も多いハズ…)、こだわりにこだわったドメスティックブランドというブランドカテゴリーからすると、実は一般的な範疇にあったのです。
しかし、この秋からはCOMOLIは非・定番アイテムを一気に高額化してきました。
コモリシャツ以外のシャツは、最低でも35000円ほど。
コモリシャツの襟などはそのままに、身幅と、特にアームを大きくして、着丈は短くした新型シャツは、税込みで約40000円。
COMOLIにしては分かりやすく高級感のある、上質なポプリン生地を使ってはいますが、いやはやそれでも高い…とこれまでのブランドファンでも、ちょっと躊躇してしまうところもあるのではないでしょうか。
それでもいまや、オンラインストアに新作がアップされ次第次々と完売していく、という状態なのです…。
その分、良い素材、デザイナーがやりたいことを実現するために自由に素材を使えるようになった。
それは分かる、分かるにしても…やっぱり一般的に見たら「高い、高過ぎる」洋服達になりました。
ただ、高い、高い、と思いながら、それでも欲しい…!となる服たちを作っているのもまた確かです。
やっぱりカッコいいんですよ、COMOLIの服たちは。
リアルクローズとはもう言えないお値段になりましたが、それでも日常生活に溶け込むような現実性と、ブランド独特の雰囲気のある服は、着てしまうとその魅力に抗うのが難しい…。
普通に考えれば、この値段は出せない、それでも出させてしまう服たち。
実用性とか、服としての「相場」を考えてしまうと、とても「割高」な服たちなのですが、デザイナーがやりたいことをしっかりと持って、それで素材を選んで使っているので。
デザイナーが思う「究極の服たち」を今作っているのだと思うし、それが出来るだけの環境に今あるんじゃないでしょうか。
その服作りの楽しさが、しっかりと服に出ていますし、そこにさらに惹かれて購入する人も多いはずです。
1年前に青山に本店がオープンしたときは、ブランドの世界観や服のテイストとあまりにギャップがあって驚かされました。
洋服を並べたラックは一面しかなく、あとは広大なスペースを贅沢に使った美術館みたいな作りの店舗なんですね。
「いやそういうブランドじゃないだろ…」と思ったものですが、もうそういうブランドになっています…。
美術館のような店舗に服たちが追いついてきてしまいました。
アーカイブが高値で取引される?ドメスティックブランドの新たな境地を切り開けるか?
おいそれとは手が出しづらいブランドになったと思いますが、こういう服としてリアリティがありつつ、とことんこだわったモノづくりをするブランドってあっても良いと思います。
それを支持する人たちがいるというのも。
何かと「コスパ!コスパ!」と叫ばれてしまう時代ですし。
ヴィンテージと呼ばれ、アーカイブアイテム(過去のシーズンに作られたアイテム達)が高値で取引されるようなブランド達は、元々の値段もまた高い、ということもありますし。
これからCOMOLIはアーカイブアイテムも高値で取引されるような、そんなブランドになっていくと、ドメスティックブランドとしては新たな境地を切り開けるように思います。
既に過去人気のあったシーズンカラーのコモリシャツは中古品でも定価を超える額で取引されていたり、ファンの間でも評価の高い18AWのタイロッケンコートは非常に高価なプレミアムが付くなど、その兆候が見られます。
ただ、ドメスティックブランドって人気絶頂時はともかく、何年も何年も前のアイテムが再評価されたり、市場で高値で取引されるようなことって今まで無かったのです。
そういったブランドになってくれると、いよいよドメスティックブランドも一過性のものではなく、文化的な側面を帯びてこれるのかなと思うのですが…。
またCOMOLIが高額化することによって、他のブランドに人が流れ、そちらが評価されることも考えられますし悪いことばかりではないはず。
ただ一方で、「中古市場でも評価されるアイテムだけ欲しい」「損をしたくない」という、「リセールバリュー至上主義」的な負の側面も生まれそうな気もしますが…。
それは「ユニクロだけ買っていれば良い」というコスパ至上主義と表裏一体の関係になってしまうような…。
個人的には、もし近年発売されたCOMOLIの服たちを気に入っているのであれば、あまり手放さないほうが良いのでは…?と思っています。
もうシャツやライトアウターといった「軽いもの」ですら、おいそれとは手が出せないブランドになりつつあるので…。
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今回紹介したCOMOLIなどをはじめ、人気ブランドの新作速報レポートなども充実させて行く予定です。
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