遂にadidasがハイテクスニーカーの技術をスーパースターやスタンスミスに搭載!これによってオールドスニーカーはどうなる?ハイテクスニーカーとオールドスニーカーは融合するのか!?
2017年、adidasの旧来からのフラッグシップモデル「スーパースター」と「スタンスミス」にadidasの「BOOST™(ブースト)」技術が搭載されることが発表されました。
本日は発売されたばかりの「スーパースターBOOST(ブースト)」のレポートと、これからのオールドスニーカーについて考えていきたいと思います。
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BOOST技術とは?
いわゆるハイテクスニーカーと言えば、NIKEのAIRシリーズが有名です。
エアマックスに代表されるAIRシリーズは、エアソールを搭載し、クッション性に優れた未来的なスニーカーとして、またそのデザイン性も相まって大ヒットしました。
NIKE AIR MAX 96 II XX BLACK/WHITEナイキ エアマックス96
このような高機能スニーカーを目指して開発されたのがBOOST技術です。
ブーストとは、「気泡」を閉じ込めた「繭(まゆ)」のようなものを集めてソールを形成することにより従来のミッドソール素材より高い衝撃吸収性と反発力を同時に兼ね備えた新世代のソール用素材。
ご覧の通り、むき出しのブーストは、繭を集めたような外観となっています。
これが履いてみるとグニャ~っと沈み込み、かつ歩き出してみるとグンっと反発する、新感覚の履き心地を生むのです。
私も昨年このブーストを搭載したウルトラブーストアンケージドというスニーカーを購入し、1足を普通のスニーカーとして、1足をランニングシューズとして使っています。
クッション性の良さは抜群で長時間歩いたり、走ったりしたときの足の裏の痛みなどを軽減してくれます。
履き心地がフワフワしていて、かつ歩きだすとグンッと反発するのでどんどん前に進めて「歩くのが楽しくなる」そんな履き心地を実現してくれます。
adidasのハイテクスニーカーに多用されるこのブースト技術を、いわゆるオールドスニーカーであるスーパースターやスタンスミスに搭載しよう、というのが今年からの試みなのです。
いきなり「本気」で作ってきたSUPERSTAR BOOST、だが…
上記ブースト技術を搭載したスーパースターは一気に4種類発売されました。
BB0188 ホワイト×ブラック
adidas Originals BB0188 SUPERSTAR BOOST
BB0189 ブラック×ホワイト
adidas Originals BB0189 SUPERSTAR BOOST
上記オーソドックスなスーパースターと言えるホワイトとブラックでアッパーと3本線を構成したモデルの他にオールホワイト、オールブラックのモデルも加えた全4種類が一気にリリースされました。
BB0187 オールホワイト
adidas Originals BB0187 SUPERSTAR BOOST
BB0186 オールブラック
adidas Originals BB0186 SUPERSTAR BOOST
さらにメタリックのSUPERSTAR W(BB2270~BB2271)も同時に登場!
レディースモデルですが、メンズサイズもあります
一気に多数のバリエーションで発売してきたのです。
この点からも、adidasのこのスーパースターへのブースト搭載の「本気度」を推し量ることが出来るかと思います。
ブーストフォームにソールを「被せる」ことによって、限りなくスーパースターの形を変えずにブーストを搭載
実はBOOSTには、前述したブーストフォームをむき出しにした物と、ブーストフォームにさらにソールを被せて見えなくしている物とがあります。
UltraBOOST Uncagedは、むき出しのブーストフォームタイプ
このブーストフォーム、直接着色するのが技術的に非常に難しいらしく、白以外に着色されたブーストフォームを持つモデルはそれだけで飛躍的に値段が上がってしまうのです。
http://www.selectsquare.com/shop/edifice/goods/3233793
そこで、この着色など見た目の加工が難しいブーストフォームを別のソール素材で包み込んでしまう、というタイプが存在します。
今回のSUPERSTAR BOOSTが採用したのはそちらのタイプ。
adidas Originals SUPERSTAR BOOST
ブーストフォームを外側のソールが包み込むようにしてあるので、外からはブーストフォームを見ることが出来ません。
そしてこのブーストフォームに被せられたソールが、限りなく従来のスーパースターのソールに近く、似せて作られているため、外観上ブーストを搭載したモデルであることが分かりにくくなっているのです。
これによりヒール部分だけなどではなく、ソール全体、いわゆる「フルレングス」のブーストを搭載することも可能になっています。
私はadidasショップでスーパースターブーストを見たのですが、下記の「従来のスーパースター」であるスーパースター80sと比べてみても、ほとんど違和感がありませんでした。
それは、この被せられたソールが大きいと思います。
これが当初想定されていたような、むき出しのブーストフォームにスーパースターのアッパーを乗せただけ、というような代物であれば、かなり違和感を感じたでしょう。
従来のスーパースターであるスーパースター80s(いわゆる復刻版・高級版スーパースター)
http://www.selectsquare.com/shop/edifice/goods/2904131
スーパースターブーストの外側のソールは、スーパースター80sのソールの模様まで似せて作られている
これがスーパースターブーストの一番のポイントだと思います。
デザインはそのままに、オールドスニーカーにブーストを搭載する、という、昨年までであればかなり先の未来の話としてスニーカーファンが語らっていたことが今年実現されてしまったのです。
しかし…。
1点残念な点が、このスニーカーの内側にあります。
adidas Originals SUPERSTAR BOOST
3本線の下、ソールからブーストフォームをはみ出させているのです。
グニュッとブーストフォームが溢れ出しているような、そんなデザインになっています。
これが「ブーストフォームを搭載しているぞ!」という唯一のアピールポイントになっているのです…。
確かにこれがあることによって、店頭で簡単に従来のスーパースター80sと、スーパースターブーストを見分けることが出来ます。
しかし…個人的に、このディテールだけは要らなかったと思います…。
スーパースターにブーストフォームを搭載して欲しいと思っていたユーザーの願いは「スーパースターの形そのままに」というものだったはずです。
ブーストフォームを搭載していることのアピールは正直要らなかったんじゃないかなあ…(海外でのウケは良いのかもしれませんが)。
「ブーストを搭載しているスニーカーを履いているぞ!」とアピールしたいのであれば、ウルトラブースト等を履きますし。
白ベースのモデルはまだ良いのですが、黒ベースのモデルはかなりコレが悪目立ちしてしまいます。
当然取ることは出来ません。
(取ってつけたものではなく、ソールから直接はみ出させているようなので、無理やり切り取ったりしないようにして下さい。)
その他のポイントを見ていくと、スーパースター80sとは大枠では同じようなデザインに見えても、細かな違いがあります。
スーパースター80sとの細かな違い
まず、アッパー全体に使わている革。
スーパースター80Sでは比較的固めのスムースレザーなのですが、スーパースターブーストでは、最初からかなり柔らかく、シワ感や凹凸感もあるモノが使われています。
adidas Originals SUPERSTAR BOOST
またadidasのスリーストライプスも、スーパースター80sではアッパーとの素材感の差異を出すために「フェルト」が使われているのですが、スーパースターブーストではシワ感のあるレザーがアッパーに仕様されたことにより、3本線にはスムースレザーが採用されシワ有り→シワ無し、で素材感の差異を出しています。
シュータン部分にある金のロゴも、スーパースター80sはベタッとしたシールのようなものだったのが、隙間を空けて地のレザーを見せるタイプに。
adidas Originals SUPERSTAR BOOST
ここがスーパースター80S(いわゆる復刻版・高級版、15000円ほどする)と廉価版(ABCマートなどで売っている、1万円前後で買えるもの)の差異をわかりにくくしていた部分でもあったので、これを解消するという意味でも良かったと思います。
スーパースター80S G61070(復刻版・高級版スーパースターとも呼ばれる)
廉価版スーパースター C77124
そして「スーパースターのアイコン」である、つま先の「シェル」はほとんどそのままになっています。
adidas Originals SUPERSTAR BOOST
注意点、スーパースターブーストはインソールが無い
スーパースターブーストは、いわゆるインソールがないタイプになっています。
ブースト搭載スニーカーは、インソールがある物と無いものがあり、無いものであっても、ブーストが直接足に当たるのではなく、ブーストが見えるようにパンチングのされた薄いインソールが縫い付けられています。
インソールのあるタイプは、この上にさらにインソールを敷くのです。
スーパースターブーストは、このインソールがないタイプになります。
インソールがなくても特に問題は無く、ここからは好みの問題なのですが、履いた時にかなりグニュッと沈み込む感じがするので、これを軽減したい場合は自分でインソールを入れたほうが良いでしょう。
adidasのショップスタッフにも、インソールの無いタイプのブーストは、インソールを入れることを勧める人もいます。
スーパースターブーストは、ウルトラブーストなどに比べてもかなり沈み込みを感じるタイプなので入れたほうが良いかもしれません。
スーパースターブーストは「買い」なのか?オールドスニーカーとハイテク技術の融合の今後
スーパースターブーストは「買い」なのでしょうか?
「スーパースターのデザインはそのままに、履き心地をブーストによって飛躍的に進化させる」という課題は、95%くらいクリアーして発売されたと思います。
ただブーストがはみ出すようになされたデザインは…やはり引っ掛かる部分ではあります。
今後このデザインがない物が発売される可能性もあるため、私としては「様子見」したいところですね…。
今年最低一足はスーパースターを購入する予定で入るのですが…。
うーん、やっぱりブーストフォームのはみ出しは残念。
やはりスーパースターやスタンスミスなどのオールドスニーカーを買う目的というのはまずは「デザイン」だと思うのです。
ファッションとしての合わせやすさ、ボトムス・パンツとの相性の広さからオールドスニーカーは例えハイテクスニーカーより履き心地が悪くても、多くの人に選ばれ続けています。
スニーカーは履き心地が良い、と言っても、これらのオールドスニーカーの履き心地というのは質の悪い革靴よりは良い、という程度でしかありません。
だからこの「スーパースターのデザインはそのままにブーストを搭載する」という点には徹底的に拘ってほしいのです。
そう考えると2万円という値段も、ブースト搭載の最新ハイテクスニーカーとして見ると普通なのですが、オールドスニーカーとしては高い、という価格帯であり、相場が形成されていないという点でも苦戦するのではないか?と見ています。
15000円前後の、復刻版・高級版スタンスミスは飛ぶように売れていることを考えると、そこまで高くも無いと考えることも出来るのですが、繰り返すように相場が出来ていないということが大きいのです。
昨年スタンスミスのデザインそのままにハイテク技術であるゴアテックスが搭載されたモデルが登場しました。
雨だけでなく、雪ですら履けるという機能性を持ったものでしたがあれが再び登場するかというと…。
adidasのもう1つの最新技術「プライムニット」を搭載したスタンスミスなども、従来のスタンスミスと比べると支持を受けているとは言えません。
オールドスニーカーにハイテクスニーカーの技術を搭載する、という試みはまだまだ過渡期と言えるでしょうね。
おそらく、デザインと価格でスーパースターブーストよりスーパースター80sを選び人の方がまだまだ圧倒的に多いはずです。
しかし、adidasはハイテク技術のオールドスニーカーへの転用を止めないでしょう。
現在adidasは「Futurecraft 」という構想を導入しようとしています。
Futurecraftは、ユーザーがお店で軽くランニングをして、足や走り方・歩き方のデータを取り、理想的なミッドソールをその場で3Dプリンターで形成して、その理想的なミッドソールを搭載したスニーカーを買って帰れる…という近未来的な構想です。
これが普及するには時間が掛かるでしょうが、文字通り随分未来的で、夢のある話です。
そして、これはランニングシューズなどハイテクスニーカーを対象としたものではなく、いわゆるオールドスニーカーも視野に入れていることは、海外でのFuturecraftラインナップにオールドスニーカーが含まれていることからも分かります。
(Futurecraftのラインナップは雑誌「SENSE」の2月号に掲載されています。)
スーパースターやスタンスミスなどのデザイン性重視のオールドスニーカーが、ハイテクスニーカーの履き心地を手に入れるまで、本当にあと少しなのでしょう。
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