少しずつ取り戻すしかない、adidasへの憧れ…好配色コラボ「WALES BONNER COUNTRY」
最近スニーカートピックとしてやたら目にするのが、「何故adidasは売れないのか?」というもの。
まあ主にアトモス界隈からですが…。
そのアトモスが仕掛けた「アディマティック」も、売り方からして正直ちょっと滑った感があります。
何故adidasは(NIKEと比べたら)売れなくなったか?と言えば、小さなことが積み重なって…ということでしか無いのでしょう。
2010年代中盤、レアスニーカーと言えばadidasの YEEZY BOOST(イージーブースト)でしたが、これに希少性が無くなってしまって。
NIKEのようなプレミアムが付かなくなってしまった。
競争して手に入れる対象で無くなってしまった。
これによって、adidasを引っ張るハイテクスニーカー部門のフラッグシップを失ってしまった感は確かにあります。
あとは、これはまだまだadidasがNIKEに対抗出来ていたときから思っていたことですが、ある一定の時期が来ると、一律で30%OFF!みたいにセールしてしまうことに対して「このまま行くと誰も急いでadidasを買わなくなってしまうぞ…」という危惧はしていました。
これ良いのになぁ…なんてモデルが、次々とセール落ちしては、どんどんadidasというブランドが憧れを失っていくような…そんな思いがありました。
そして遂には、adidasの象徴とも言えるスタンスミスの合皮化…。
これadidasの擁護をするわけではないですが、出来は非常に良いのです。
かなり頑張って商品開発をしたであろうことがうかがえます。
実際私も合皮化されたスタンスミスを買って、履き込んでみたのですが、そんなに悪くは無いのです。
ただ同時に、これは結構な数のスタンスミス愛好家からそっぽを向かれても仕方ないな…と。
サスティナブルは確かに大切ですが、合皮化が必ずしも合理的な正解とならないこと(牛を食べ続ける限り、副産物として革は生まれる、合皮は劣化していつか捨てざるを得ない…等)も、イマイチadidasの施策を応援出来ないところではないでしょうか。
ただNIKE一強のスニーカーブームにちょっと陰りも見えてきています。
端的に、ダンクとジョーダンのバリエーション地獄に飽きが来ているところもありますし。
そうか、じゃあadidas履こう!と急にはならないところが、ここ数年のadidasのブランド力低下がいかに深刻か…という話なのですが。
もう、少しずつadidasへの憧れを取り戻していくしかないよね、というフェーズなのです。
そんなadidas、今年に入り次々とハイブランドとコラボを実現。
まずはadidas×GUCCIが発表。
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そして5月、adidas×BALENCIAGAも発表。
泣く子も黙るハイブランドとのコラボレーションで、adidasの人気もアップ!みたいな単純な話ではなく。
特にBalenciaga×adidasは、adidasの持っている資産…三本線やトレフォイルロゴなどのポテンシャルを再確認させる出来事になったのではないかな?と思います。
流石にどれだけ格好良くとも、トラックジャケット30万円と言われると手が出ないのですが。
これらのいわばビッグコラボだけでなく、BLONDEY MCCOY(ブロンディ マッコイ)デザインのadidas × Blondey や、Grace Wales Bonner(グレース ウェールズ ボナー)デザインのadidas×WALES BONNERなどが今年発売されています。
こちらはお値段的にも手が届くコラボになっています。
ただ本当に分かりにくい…。
adidasの抽選アプリ、「CONFIRMED」(NIKEの「SNKRS」に相当)をダウンロードしてチェックしていないと、いやチェックしていたとしても、分かりづらい。
例えばこのスニーカーは、CONFIRMEDアプリだけではなく、原宿のフラッグシップストアなどごく限られた店舗で販売も行われていたのですが、どこにもそういった情報がなかったりするんですよね。
そこはもう何とかして欲しいところなのですが、「頑張れば何とか手に入る」のも、今のadidasの良いところ。
NIKEとか良いなと思っても、絶対手に入らないんだろうなと諦めてしまいますが、今のadidasはそんなことありませんから。
adidas以外でも、SNS(sneakersnstuff)のオンラインストア、実店舗でも販売していたりします。
アディダス オリジナルス Country x Wales Bonner
流石にサイズは欠けてきてしまいましたが。
英国人女性デザイナーであるウェールズ ボナーが手掛けるコレクションは、adidasの数あるコラボの中でも配色センスがピカイチ。
このカントリーも、アッパーのメイン素材になんと洋服やバックパックに使いそうなサテンナイロンを使用。
ナイロンならではの発色の良さを活かした、鮮やかなイエローを実現。
ハイブランドとのコラボに負けないインパクト、あるのではないでしょうか。
え?これ?adidas?何の?となりますよね。
それでいて、どこかまとまり感のある、奇抜さだけに終わらないデザイン。
シューレースまで含めた色のセンスが抜群です。
ずっと眺めていられる、「絵になる」スニーカー、これはスニーカーコレクターに刺さるところあるはず。
adidas、そこはちょっとNIKEに劣るところではあるので。
ただ、やっぱりこの「地」の部分、adidasの持つアーカイブの力みたいなものもしっかり感じますよね。
ベースとなるオールドスニーカーがあってこそ、デザイナーのアレンジが効いてくる。
流石にこのカントリーは、ちょっと派手で取り入れづらいという人も居ると思いますが(そこがコラボならではの特別感があって良いとも思うのですが…)、このあと少し抑えめな、これまた好配色のグリーンのサンバが来る予定なので(発売日などは未だ未定)、そちらを待ちましょう。
ここ数年の空白により、「adidasってNIKEと対等だった時代とかあったんスね」みたいな若い子も出てきてしまったのですが、少しずつ取り戻すしかないですね、adidasへの憧れを。