ユニクロ×クリストフ・ルメールの「ユニクロU」2018AW後半戦。今年の「U」を締めくくる目玉アイテム、フリースジャケット&カーディガンをどうする?本当のオススメはアレ?
10月12日、ユニクロUの2018AW後半アイテムがリリースされました。
これで今年の「U」は全て出揃ったことになりますね。
「目玉」であるフリースアイテムはどうしたものでしょうか?
数は少ないながら注目アイテム揃いの後半戦レビューを行っていきたいと思います。
前半戦はコチラ
アウター
ダウンジャケット
今回唯一のアウターらしいラウター。
これも惜しいなあ…と思ってしまうアイテムです。
ダウン量を抑えているので、ダウンジャケット感がなく、ブルゾンの延長線上にあるようなアイテムなのですが、シルエットがやたら角ばってしまっているんですよね…。
それ故に融通が効かない。
これは後のフリースジャケットなどにも言えるんですが…。
デザインはコーチジャケットを意識したと思うのですが、コーチジャケット自体がシルエットに気を使うアイテム。
なかなか一枚でサマになるコーチジャケットって無いものですが、ダウンジャケットはもう少し気楽にサッと羽織ってスタイルを完成させたいんですよね。
そこにアンバランスさを感じてしまいます。
ダウンジャケットとしても、コーチジャケットとしても中途半端というか。
できればもう少し着やすい、羽織っただけでサマになるブルゾンタイプで作ってほしかったなというところ。
そうすればこの硬さも活きて来たかも…?
1万円くらいの、ダウン量は少なそうなのにモコモコっとしただけのダウンジャケットよりは遥かにマシだと思いますし、生地感は値段の割には本当に良いだけに惜しいなあと思います。
ちなみにDARK GREENはほぼグレーで、良い色味です。
樹脂加工してあるので、ある程度撥水性もあるようですね。
正直住んでいる場所や生活スタイルによっては巷に出回っている高機能なダウンジャケットはオーバースペックなことも多いものです。
これくらいのダウン量を抑えたもので十分だったりすると思うのですが、この「ダウン量を抑えたダウンジャケット」というのはどうしてもあまりダウンジャケットに見えないので、変にボリュームのあるブルゾンのように見えて中途半端になりがち…。
ダウンジャケットのボリューム感というのも難しいものです。
フリースジャケット
昨年は女子も参戦し、ベージュが大人気過ぎて朝から品切れになってしまったユニクロUのフリース。
今年は型数、色を増やしただけでなく、レディースにもフリースアイテムが用意されたこと、おそらく生産数を増加させたことにより、結構余裕があってじっくり見ることが可能でした。
本当は、昨年の感じだとこれ実物見れるのかな?という感じで不安だったのですが(昨年はネイビーしか見ることが出来ませんでしたから)、オンラインが解禁されてからも全く売り切れないので、今年は余裕あるなと。
今回のU後半戦はアイテム数も絞られていて、そういう点では本当にラクだったんですが(特に試着が大変なボトムスが少なかったのが本当にありがたかった…)、頭を悩ませたのが、今回の目玉であるフリースジャケットとフリースカーディガン。
さてコレをどういう風に評価したら良いものか…?と。
本当に正直なところを言えば、こういう活動をしていなければ、両フリースアイテムともスルーしていたでしょう。
まずはアウターカテゴリーに位置づけられている、フリースジャケット。
コチラは結論から言うと正直「どうにもならない…」と言ったところ。
フリースカーディガンが難しいことは昨年見て分かっていたのですが、こちらは襟高のブルゾンタイプということで、なんとかなるんじゃないかな?と思ったのですが、こちらの方がどうにもならないですね…。
まず作りの問題として大袈裟なビッグシルエットな上に、シルエットがクッキリ出てしまう非常に固めの作り。
これによって「服が歩いている」ような、かなり恣意的なシルエットになってしまいます。
ゴツい、というか…。
https://www.uniqlo.com/jp/store/goods/411593-31#thumbnailSelect
大粒のフリースも相まって、どことなく変にゴージャスな感じも出てしまうんですよね。
いやーコレは難しいです。
中に何を着ても、やっぱりシルエットが大袈裟なままなので。
ちょっと羽織って気軽にそこまで…と言うには大袈裟過ぎますし、じゃあ気合を入れてどこかに出かける、と言うにはちょっとクオリティーが足りないし…。
またこの固めの作りと、太めのアームなどからインナーにするのも難しいですね。
こういう感じで、フリースジャケットは今年のビッグシルエットアウターのインナーとして使いたいところなんですが、そういう使い方は出来ません。
http://www.cambio.co.jp/fs/cambio/mj5616
ジャケットに関しては、ただただ、一枚でドーン、という使い方しか無いかなという感じ。
インナーで小細工をしても着ぶくれ感が出てしまうと思うので。
唯一、メンズ服としてまとまるのがネイビー。
膨張色ではないので、大袈裟なシルエットやゴージャス感も緩和されて無難に着ることが出来ます。
しかし無難に着るということだと、果たしてコレを買う意味があるのか?という矛盾も…。
この値段、定価で買うには決して安くは無いですからね。
ディテールは、ダブルジップでこそ無いですが、首元までジップが締まり、非常に温かいですね。
防寒性は、フリースの中でも高いと思います。
ただやっぱり難しい…。
う~ん、決してオススメはしないですね…。
ニット
メランジクルーネックセーター
メランジという複数の色の糸を混ぜて複雑な色味を表現しているニット。
前半戦のモックネックを思い出していただければ良いですね。
ネイビーはほとんど色差がなく単一色のような色味ですが、その他はちょっと好みが別れそう。
今年はこれは綺麗だな…という色はなかったですね。
ピンクはメンズにはあまりない、白系に寄った可愛らしい色味になっています。
ダークグリーンとパープルはちょっと艶っぽいというか、妖艶(ようえん)な感じがあってちょっと難しいかな。
何より49% ナイロン,24% アクリル,17% モヘヤ,10% 羊毛という色々な素材を混ぜた生地なのですが、何が悪さをしているのかチクチク感が結構するんですね。
長袖のインナーで試着したのですが、それでも首筋からもチクチクチクチクしてしまって、これはかなり気になるなと。
昨年はこの系統のニットはラムウール100%で作られていたんですが…。
プレミアムラムクルーネックセーター
こちらはラムウール100%のニット。
チクチク感はほとんどありませんでした。
程よく厚みがあり、エクストラファインメリノのクルーネックよりも使いやすいかなと思います。
ただ形は非常に無難な、素朴なニットという感じで、あえて買う必要があるのかな?とちょっと思ってしまいますね。
今季ユニクロ通常ラインには「プレミアムラムタートルネックセーター」というアイテムがあり、こちらの方が形的に使いやすいと思います。
品質的にも、Uのプレミアムラムの方が若干厚め?という気もしますが、2000円の差を感じるほどの差も無いですね。
ミラノリブモックネックセーター
後半戦で一番期待していたアイテム。
確かに値段は高いですが、Uでは定評のある「ミラノリブ」。
伸縮性のある編み物でありながら、織物のようなしっかりとした生地でここのところすっかりおなじみですね。
まあ発売前から画像で分かっていたことではあるのですが、「モックネック」としては首元にそれほど高さがありません。
「モックネック」とは、タートルネックのように折り返して使う必要のない、程よい高さのネックの形。
昨今ビッグシルエットトレンドの影響でどんどん大型化していくアウターですが、そんなアウターの攻略法が、中の「密度」を高めること。
それには色々な方法がありますが、一番簡単な方法が、首元の高いタートルネックやモックネックを合わせることです。
中でもモックネックはタートルネックほど大袈裟にならないので本当に使えるアイテムなんですが、カットソーにしてもニットにしてもなかなかアイテムが無いんですよね…。
昨年のユニクロUにあったメリノブレンドハイネックセーターなどは、かなり使いやすいモックネックニットでした。
http://www.uniqlo.com/jp/store/goods/403165-01
今年もこの形で作ってくれればベストだったんですが…。
しかし、無いものは仕方ない。
今回のミラノリブモックネックセーターは、首元の高さは無いんですが、スソ・ソデともにリブ無しの、ミニマルなニットとして非常に良い出来ですね。
厚みも薄すぎず、暑すぎず、カットソーだとちょっと物足りなくなってきたけど、ふっくらとしたニットにはまだ早い…みたいな時期にちょうど良さそう。
色も03 GRAYは非常にクリーンなライトグレーで、カーキ・オリーブのアウターなんかに合わせてあげると良さそう。
07 GRAYはオンラインの画像だとカーキっぽいグリーンになっていますが、実物は今季のユニクロUに多いグレー掛かったグリーンです。
参考
これよりもうちょっと濃くて、ツヤは控えめと言った感じ
私は、前半戦でこの色をすでにゲットしているのと、ミニマルなデザイン・質感が最も活きていると思ったブラックにしました。
今回のUのニットは若干従来よりもサイズ感が緩くなっている気がするので(それでもSとかは相変わらず小さいですが…)、無理にサイズアップを行わなくても大丈夫だと思います。
このアイテムはリブも無いですし、リブを緩めるためのサイズアップなどもしなくてOKだと思います。
後半戦でもっともオススメなのはコレですね。
エクストラファインメリノミラノリブジャケット
これもちょっと期待していたんですが、ミラノリブの生地感とこの形がちょっとチグハグな感じ。
生地のハリ感や重みでかなり落ちる感じがあるので、それに引っ張られてインナーがカットソーなんかだとだらしなく見えてしまいます。
着用例のようにタートルネックなんかと合わせて、首元にだらしなさが出ないようにしてあげるしか無いですね。
上手くやれば、業界人っぽくなるというか、雰囲気が出るアイテムなので、こういった着こなしをしたい方には良いかな。
黒の色味が、ミラノリブモックネックの黒などと比べると、緑がかっていて純粋な黒というわけではないことに注意が必要ですね。
フリースカーディガン
出ました、今回の目玉アイテムですね。
今年もメンズアイテムながら女性で手に取る方が非常に多かったです。
これもねえ、やっぱりメンズには難しいアイテムです。
ただ、ジャケットに比べると、肩が落ちてくれてシルエットのゴツさが軽減されるので、その点で着やすいとは思います。
カットソーの上から普通のカーディガンのように着ると、服が浮き上がってやっぱり「服が歩いている」みたいになりますし、首元が妙に寂しく、ちょっと女の子っぽくもなってしまうので、やっぱり着用例のようにパーカーなんかを合わせるしか無いのかなと思います。
モックネックのカットソーなんかでもまだフリースカーディガンのボリュームに負けてしまいますね…。
パーカーと相性が良いというより、パーカーを合わせるしか無いという感じ。
首元が寂しくなればなるほど、こういう表現が適切なのかは分かりませんが女々しくなってしまいます。
そうなると、そういう着方への適性が問われてしまうので。
いくらアウターの大型化が著しいと言っても、この硬さと太いアームではインナーに出来るアウターも限られるでしょう。
これニットカテゴリーに入っていますが、アウターとして見ても良いんじゃないでしょうか。
着こなしの幅は相当狭いと思います。
スタイリッシュに着るというのはほぼ不可能。
これは2,3年前にトレンドになった大袈裟に肩を落としたビッグシルエットのMA-1の延長線上にあるアイテムですね。
現在のトレンドを難しく捉えるなら「あえて『ダサさ』にオシャレさや、カッコ良さを見出す」ところがあり、少しダサいくらいが気が抜けていてカッコいい、というわけなんですね。
本来オシャレとはキメ過ぎはNGで、ちょっと気の抜けた「洒落感」というのは、いつの時代も基本なんですが、今はそれが過度に強調されている感じ。
「え?ダサい?俺が着るとカッコいいでしょ?」くらいの気概が必要な時代なんですね。
だからまあ「これは難しい」と言えば言うほど、そういう気概を持った人たちにはありがたいのかもしれません。
そこまでして着るものなのか…という葛藤は置いておいて、まあトレンド感は出ますし、今回の目玉を着ている!という高揚感みたいなものも得やすいのかなと思います。
このへんもブロガーとして表現の仕方が難しいんですが、やっぱりこういうトレンドだとかUの目玉アイテムであるとか、アイテムを取り巻く「環境」っていうのもファッションの本質的な価値の1つではあると思うので。
そういうものにあまり興味がない、という人はやはりスルー推奨です。
ちなみに色味なんですが、ベージュは淡い、オフホワイトのような色合いで、単体だと非常に映えますね。
イエローは思ったよりブラウン味が無く、黄色みが強め。
この2つは、大粒フリースのこのアイテムで着ると可愛さが前面に出てしまい、メンズだとちょっと「気恥ずかしさ」も覚えるかも?
やはり無難なのはネイビーですね。
私は迷いに迷った挙げ句、間を取って(?)ブラウンにしました。
ちょっと紫がかったような、濃いワインのような色味。
光の当たり具合にもよりますが、オンラインショップの画像のような、「焦げ茶」という印象はあまり無いと思います。
サイズは着丈が短いので小さ過ぎても駄目だし、大き過ぎても今度はボリュームが出過ぎるので駄目。
前述の通りレイヤード前提のアイテムなので、サイズ選びが難しいとは思いますが、どうしても着たい!という場合はパーカーなど首元にボリュームが出るものを中に合わせてみてください。
メンズだと無理して買う必要は全くありません。
やっぱりこのアイテムは、レディースでこそ「買い」だったんじゃないかな。
ユニクロU2018AW総括
昨年メンズではイネス、アンダーソン、そして「U」と、デザイナーズコラボコレクションが立て続けにリリースされ、その圧倒的な物量故に良品が見つけやすかったですね。
やはりそこから急にU単体だけ、となってしまうと、昨年の期待が全てUだけに掛かってしまって、正直可哀想な面もあって。
デザイナーのやりたいことと、ユーザーが望んでいることはやはりちょっと違いますからね。
「U」だけではアイテムが足りない!という方は、ユニクロ通常ラインや無印良品・ムジラボ、セレクトショップのオリジナル品なんかも絡めながら揃えて行く、という従来通りの戦略で良いと思います。
ユニクロのコラボで消耗するのは、ブロガーだけで十分。
読者の方には賢く、コラボを利用してもらいたい。
その御役に立てれば良いなと思っています。
結局一番買いはクルーネックTとかスーピマロンTだったかな…。