近づく秋の気配! 色と色とをリンクさせる、コーディネートをもっと簡単にしてくれる、「最高の繋ぎ役」であるグレーのカットソー。
曖昧故に楽しい世界へようこそ!
今日はタイトルにもある通り、グレーのカットソーに絞って話をしていきたいと思います。
ファッションブログでもこういう記事ってあまり見かけなかったりすると思うので。
メンズが使える色というのはそれこそ「まっとうな」ファッションを目指していく限り、制限がありますよね。
そんな中で、メンズの基本となる色達と相性がよく、さらにちょっとクセのある色とも相性が良い、そんな「色をリンクする」役割を果たしてくれるカラーがグレーです。
ちょっとネガティブな言葉ですが、「グレーゾーン」なんて言葉もあって「曖昧」な色の代表でもあるグレー。
モノトーンカラーでありながら、白や黒とは違って濃淡があり、グレーだけのグラデーションで構成されたアイテムやコーディネートまで成立してしまいます。
さらに、本来は無彩色であるグレーですが、ほんとはちょっと「彩」のあるズルーい「名前だけのグレー」なんかも…。
私はグレーのカットソーには特に目がなくて、ちょっとでも気になったら買ってしまうのです。
白にも黒にも真似できない、「最高の繋ぎ役」こそがグレーカットソーの魅力。
今日はそんなグレーのカットソー好きがお届けするグレーな世界をお楽しみ下さい。
まるでシルバーグレー、カットソーでおなじみcurlyの名作生地が長袖で復活
【curly 「PPM V-NECK LS TEE」】
カットソーといえばココ。
私のブログでも登場回数の多いブランドcurly。
curlyは、香川県の縫製工場を母体とするドメスティックブランドです。
素材と縫製、そして身体の形に合わせた立体的なパターンワークにまでこだわった良質なカットソーがウリのブランド。
「コスパが良い」という言葉でまとめたくないほど、この価格帯でこのクオリティのカットソーは唯一無二、「フェア」な姿勢を感じることの出来るブランドです。
このブランドで最もオススメの生地が今年発売されたインドの高級綿スビンとDCHの混紡によって生み出された「SDH」シリーズ。
curlyの中でも、非常に滑らかで肌触りの良いタイプの生地。
表面の毛羽を取り除いているので、洗い込んでいってもそこまで風合いが劣化しないんですよね。
このSDH生地のグレーは、少ーしだけパープル掛かった絶妙なグレーです。
そしてこの「SDH」の前身として、昨年まで使われていたのがペルーピマコットンを使用した「PPM」という生地。
これが今秋curlyの直営店舗に当たる青山の「TheWeft 」の限定アイテムとして復活。
curlyの滑らかタイプの生地では珍しい長袖になります。
右が「SDH」、左が「PPM」
PPMのライトグレーは、彩度のほとんどない正統派のグレーながら、ジワッとしたツヤ感も相まってシルバーグレーと言うような色味。
こちらはネイビー、特に青みの強いネイビーブルーと非常に相性が良いライトグレーになります。
https://twelve0492233757.com/cp-bin/eccube/html/products/detail.php?product_id=4191
元々使いやすい淡いライトグレー。
これに生地のやりすぎない上品な光沢感が加わることで、幅広く合わせやすい、よりユーティリティなアイテムへと変貌します。
白いTシャツで安いブランドと高いブランドの見た目の差を付けるのって結構難しいと思っているんですが、ライトグレーって分かりやすく差が付きますよ。
※「TheWeft 」は、オンラインストアが無いため直接お問い合わせください。
パープル掛かった、ずるーいライトグレー!?コットン100%とは思えない着用感
【MINOTAUR 「Extra Fine Pocket Crew T-Shirts」】
一応「Lt.Gray(ライトグレー)」表記ながら、ほぼパープルといった色味でちょっと「ズルい」と感じてしまうのがMINOTAUR(ミノトール)の「Extra Fine Pocket Crew T-Shirts」です。
高機能な化繊素材に定評のあるブランドですが、Extra Fineシリーズは綿100%のアイテム。
使われている綿はスーピマコットン。
スーピマコットンと言うと、ユニクロが認知度を上げた最高級綿ですが、じゃあユニクロのものと同じような生地なの?というと全く違います。
まず生地のコシが凄い。
ストレッチが効いているのかと思うくらい、着る時に「グインッ!」という伸び縮み、キックバックすら感じることが出来ます。
そして滑らかで光沢感の強い生地にも関わらず、ドライな質感も併せ持っているというちょっとした驚きのある生地感なんです。
ユニクロのスーピマTシャツと、ユニクロUのクルーネックTシャツが分かりやすいのですが、「滑らか系」と「ドライ系」のTシャツは基本的には対極にあるもの。
滑らかでぬるっとした光沢感を求めれば求めるほどドライ感はなくなるし、ドライな質感を求めればザラザラとして滑らかさや光沢感はなくなってしまうもの。
細い糸を度詰にして、硬さを出して光沢感とドライ感を両立させる方法はありますが、柔らかい生地のままこれを両立させるっていうアイテムはなかなかないですね。
このため生地感は高級な下着っぽさがあるのに、肌離れが良くてシルエット形成力もあるため、形やシルエットは下着っぽくならない。
アウターを脱いでも恥ずかしさが無いんですね。
ネックもバインダーの太さが絶妙で、少しだけ長く取られた袖など、デザイン面でも◎。
着丈はやや長め、スソにスリット入りです。
https://www.minotaur.co.jp/shop/swiss-cotton-smooth-crew-pocket-tee/
※このブランドはグローバル展開のためにXSサイズが通常のドメスティックブランドのSサイズ相当など大きめの作りになっています。
パープル掛かったライトグレーや、限りなく白に近いライトグレーというのは、グレーの持つ「黒」の要素が弱いのです。
「クリーンさを持っている」と言い換えても良いかもしれません。
そのため相反の関係にあるカーキやオリーブ、濃いめのベージュなどのミリタリーカラーと合わせやすくなります。
ミリタリーカラーの持つダーティーな要素、「にごり」や「くすみ」を強調せずに、マイルドにしてくれるので、相性のいい組み合わせとなりやすいんですね。
前述したcurlyのSDHシリーズがあまりに人気で入手困難になってしまい、「似たようなアイテムを知りませんか?」という問い合わせを多数頂きました。
似たような、というか「きちんと違いの分かるクオリティの高い滑らか系カットソー」というカテゴリーで、「1万円前後」くらいの価格帯まで範囲を広げると、このMINOTAURのものや、他にniuhans(ニュアンス)というブランドがヒットします。
こちらもいつか紹介したいですね。
伝統とトレンドの融合、今最も使いやすいのは「肩落ち」?
【KAZUYUKI KUMAGAI「ビワコットンクルーネックS/S」】
こちらは既にブログでも紹介したKAZUYUKI KUMAGAIの「ビワコットン
クルーネックS/S」。
http://www.attachment-ec.com/products/detail.php?product_id=3621
「BIWACOTTON(ビワコットン)」とは、江戸時代末期から続く、「縮(ちぢみ)」という「ステテコ」に使われる素材を現代の洋服に合う素材へとアップデートさせた滋賀県発の素材。
風通しが良く、非常に肌離れが良くて、その上軽い。
カットソーにこだわりのあるブランドですが、このブランドのドライ系素材としては「空紡天竺」というものが昨年まであったんです。
ただ、これがちょっとザラザラとしすぎていて、肌触りが良くなかったんですね。
日本人は「良い生地≒滑らかで肌触りが良いもの」という感覚がどこかあると思うので、ドライ系の生地って評価が二分しちゃうんですね。
ユニクロUのクルーネックTシャツも、素晴らしいという人もいれば「ゴワゴワして駄目」という人もいますよね。
このビワコットンは、サラッとはしているけれどザラザラ感が少なくて、ゴワゴワ感はほとんど無いという、夏素材としては理想的な素材の1つになるんじゃないかな?と思っています。
リネン(麻)も、シャツならまだしもカットソーにしてしまうと肌と接する面積が大きくなりすぎてしまいますから。
デザインも大胆に肩を落としたドロップショルダー。
腕の関節がギリギリ隠れるくらいの絶妙な長さで、1枚で着やすいですね、
半袖ってどうしても体型的、骨格的な合う合わないが出やすいんですよ。
参照 量産型にならないオープンカラーシャツ対トレンドのビッグポロシャツ!半袖シャツ特集!! - ナルシストで何が悪い?ナル男のアイデアブログ
私は半袖が苦手なら6~7分丈のカットソーやシャツを着ちゃうのが一番手っ取り早い代替案だと思っているんですが、なかなかそういうものって無いんですよね。
ビワコットンを作っている会社のHPに行くと、半袖のTシャツでも5000円くらいなんですね。
このアイテムはその倍以上の値段なわけですが、デザインでそれだけ付加価値は与えられているか?というと、私は与えられているんじゃないかなと思います。
こういったドロップショルダーのアイテムは肩周りのニュアンスが鍵なので、ここをしっかりアイロンで伸ばしてシワ感無く着てあげると見違えますよ。
ちなみに、夏素材と言っても、グレーは汗染みには弱いです。
だからうだるような最近の暑さには流石に向きませんね。
なおグレーは現在ほぼ完売のようです。
グレー史上最強の緩和力!?柔らかいニュアンスのブルーグレイ
個人的にもグレーのアイテムって数えきれないほど買ってきたんですが、濃淡あるグレーですが少しだけ他の色を混ぜるとすごく柔らかい色味になってくれたりします。
その代表例がグレーとベージュを混ぜた「グレージュ」。
メンズファッションはどうしてもダークカラーに偏りがちなので、色使いが苦手という人は、それら色味のキツさを緩和してくれるベージュ、グレー、そしてグレージュみたいな色を意識的に集めると良いですよ。
この柔らかさを、ベージュを混ぜるという方向ではなく志向したのが、AURALEE(オーラリー)の「Luster Plating L/S」。
【AURALEE「Luster Plating L/S」】
これはグレーに水色を混ぜたような「ブルーグレイ」。
【AURALEE オーラリー】LUSTER PLAITING L/S TEE
非常に捉えどころの難しい色で、光の加減によって水色が強く見えるときもあれば、もっとクリアなライトグレーに見えたり、くすんだグレーに見えたり。
ここの強みは繊細な糸を惜しげも無く使って作り上げた、軽いのだけどしっかりと感じられる密度だと思っていて、それをきちんと感じられるアイテム。
このは7000円くらいのカットソーは正直あんまり良くないんですが、こういうブランドの真骨頂みたいなアイテムはやっぱり良いですよ。
いわゆるロンTとニットの中間くらいのアイテムだと思います。
多分この色で普通のロンTみたいに作ってしまうと、貧弱でパジャマみたいな中途半端なアイテムになってしまったと思いますね。
黒なんかとも相性が良いですが、濃いめのグレーのアイテムと合わせて明暗のグラデーションを作ってもいいでしょう。
個人的には夕闇の、ちょっと暗い中で浮かび上がってくる表情が良いなと思っています。
袖口など好みの分かれそうな、ちょっととっつきにくいディテールもあったりするんですが、
大手セレクトショップでも扱っているので、今日紹介した中では一番実際に手にとって見てもらいやすいと思います。
AURALEE [ オーラリー ] / LUSTER PLAITING L/S TEE
触ってみると質感の良さがハッキリ感じられると思います。
グレーカットソーの世界どうだったでしょうか?
もちろんカットソーなんかにこだわるのは、ファッションでも一番最後。
最初はカットソーはユニクロなどで済ませて、まずはパンツやアウターに投資すべきです。
最近はユニクロでも馬鹿にできないクオリティですからね。
ただ、ファッションをもっと楽しく、かつ簡単にしてくれるのがちょっとお高めのグレーのカットソーだったりします。
その曖昧さ故に楽しい世界をちょっと知ってもらえたでしょうか?
まだまだ夏は続きますが、突然朝晩が涼しくなって、秋の足音がしてきました。
秋物のリリースは続いていますし、汗だくになりながらリサーチを続けた成果を出すときが来ましたね。
今週末からnoteの方では「シャツweek」と銘打ってシャツ特集を先行配信するなど、秋物記事をどんどん投下していきたいと思います。
地味にインスタグラムも始めていますので、こちらもよろしくお願いします!
ナル男 (@narcisman07) • Instagram photos and videos