「量産型にならない」そんなオープンカラーシャツが欲しい!対抗馬はトレンドの兆し、ビッグポロシャツ…?半袖シャツの難しさとは…?オープンカラーシャツが流行った理由はイメージ?この夏を乗り越える半袖シャツ特集!
いやー暑い…。
今年はいつにも増してちょっとシンドい夏になりそうですね。
お待たせしていた半袖シャツ特集、今回は量産型にならないオープンカラーシャツ、そして対抗馬になりうるトレンドのビッグポロシャツがテーマです!
トレンド「過ぎる」オープンカラーシャツ、オープンカラーシャツ嫌いが選ぶのは…
正直昨年からなんですが、「流行り過ぎている」とすら感じるほどに流行りまくっているオープンカラーシャツ…。
そして実は私、オープンカラーシャツが苦手。
トレンドとはいえ、あまり積極的に選びたくないなあ…と思っているほどなのです。
そんなわけでいつも以上に厳しい目で選びました。
量産型にならないオープンカラーシャツとはどんなものなのでしょうか?
あえて上品さを加えて着るオープンカラーシャツ
オープンカラーシャツは「リラックス」というテイストがウリ。
「ちょっと野暮ったい、けれどそこが良い」、というのが現在のトレンドの潮流。
トレンドを作る側にいる雑誌を眺めると、私ですらリアルタイムでの記憶がない、まるで大昔の写真を見せられているような気になります。
(メンズノンノとかメンズノンノとか、メンズノンノとか…)
でも、それが良いとされているんですね今は。
思えば2000年代から、「とにかくスタイリッシュに」を志向するトレンドが長く続きました。
そうしたトレンド下では長く抑圧されてきた「カジュアル」「リラックス」「古着」などといったキワードが、その反動から爆発しているような状態なのです。
故に、スタイリッシュを志向するような人には立ち向かうのが難しいトレンドとなっているのですが(例えば「タックイン」なんてここまでのメンズファッションの流れを考えれば受け入れられない人も多いトレンドでしょう…)、
オープンカラーシャツにもちょっとスタイリッシュさを志向したようなものがあったりします。
そうしたものはたいていテロテロっとした素材感だけで上品さを表現しようとするので、それはそれで「量産型」感が出てしまうのですが…
上品さを表現するのに別のアプローチが採ったアイテムがあります。
https://baycrews.jp/item/detail/edifice/shirt/18051300505010
EDIFICE、 「Multi-pattern オープンカラーシャツ」は、コンパクトなシルエットかつ滑らかな質感の生地のオープンカラーシャツに、流行のグレンチェックを思わせるような上品なチェック柄を載せたアイテム。
テロテロっとした質感ともまた違う、非常に肌触りの良い素材で気持ちの良い生地。
この素材がテカりの強すぎない上品なツヤ感を生んでくれています。
素材感と柄が非常にマッチしていて「オープンカラーシャツなのに上品にまとめる」という難題をクリアーしているアイテムだと思います。
オープンカラーの「柄」シャツというと、アロハ的な、オープンカラーシャツのリラックス感を加速させるものが多いですが、これはオープンカラーシャツに上品さを与えるという方向性が上手くハマっています。
EDIFICEは、上品でキレイめな提案が多いセレクトショップ。
オリジナル品に関しては「ちょっとキレイめ過ぎるな…」と感じることも多いのですが、このアイテムに関しては差別化の難しいオープンカラーシャツという題材をココらしさ満開で料理したなと思いましたね。
グレンチェックのような、グレー基調に淡いオレンジとブルーのラインが入ったモノと、グリーン基調で白と赤の入ったモノ、どちらもよく見ると非常に細かいブロックで柄を構成しているので情報量も豊富です。
http://zozo.jp/shop/edifice/goods/31991373/?did=55904558
ただし、このアイテム、「身体に沿うジャストフィットなシャツ」という、シャツの王道的なサイジングで作られているが故に、ちょっと似合う人を限定しそうな気はします。
次の項で説明するようなチェックを試着の際に心がけてみてください。
1サイズ上げても全く問題ないでしょう。
また何故か通販サイトには綿100%と記載されていますが、正しくはポリエステル43%コットン57%という素材。
おそらく柄別に素材が異なっているんだと思いますが、両チェック柄はこの素材割合になっています。
手洗い推奨のややデリケートな素材なので、その点でも注意が必要です。
半袖シャツが難しい理由、バリエーションの誘惑に負けず厳しくジャッジしてほしい
何故、半袖シャツは難しいのか?
それは「バランスを取るのが長袖シャツに比べて極めて難しいから」ということに尽きます。
どれだけビッグシルエットの流れでゆるめなサイジングのトレンドが到来していても「シャツだけはジャストフィットを」と考える人は多いものです。
それ自体は別に間違っていません。
シャツの王道は、ある程度トレンドが変わっても身体に沿ってラインを形成するジャストフィットのものです。
ところが半袖シャツに関してはジャストフィットで着てしまうと、バランスがとても難しいことになってしまうのです。
半袖シャツはその構造上、上半身が浮き出るような作りになっています。
肩とソデ部分がピタッとしたものを選ぶと、その人本来の体型や骨格が浮き出るように、そのまま反映されてしまうのです。
骨格的にもシャープにガシッとしていて、顔も小顔な人は半袖シャツがよく似合いますが、やや顔が大きい人は、上半身が異様に小さく、逆に顔は大きく見えてしまう。
その結果頭身バランスが崩れて、必要以上に子供っぽく見えてしまう人がたくさんいます。
そういう難しさが半袖シャツにはあるんです。
半袖シャツこそ、試着が「超」重要です。
別に最初からありとあらゆる箇所をチェックせよ、とは言いません。
・肩に余裕がなく、ピシッとしすぎていないか?
・袖(そで)口と上腕のバランス、貧弱に見えたり、逆にぷにぷにとした質感が強調されていないか?
という部分的なチェックと
・遠目から見て、上半身が異様に小さく、またそれによって顔がいつもより大きく見えていないか?
この全体的なチェックしてみてください。
小柄だからSサイズ…じゃないですよ。
半袖シャツって「夏の間ずっとTシャツってわけにもいかないしなあ…」という、「バリエーションを持たなければいけない」バイアスが掛かってしまいがちですが、ここで甘いチョイスをしてはいけません。
半袖シャツは、夏しか出番が無いので、インナーとして誤魔化して使う等も出来ないですし。
妥協せず選んでほしいですね。
「素材」で差をつけるオープンカラーシャツ
王道的な「素材」によって差をつけるという方法。
現在多く見かけるのは、ちょっとテロテロっとした化繊やレーヨンの入ったような素材感のものか、薄手ながらややハリ感やパリっと感のあるコットンのもの。
そんな中でオススメしたいのが、ちょっと古着のようなクタッとした質感のアイテム達。
COMOLI(コモリ)の「ベタシャン」という素材は、タテ糸とヨコ糸に濃淡のあるものの色糸を使用したもの。
通常の「シャンブレー」はタテ糸がインディゴ、ヨコ糸が生成りの糸を使用して濃淡をハッキリ出しているのと比べると、ベタッとした印象に見えるので、ベタシャンと呼ぶそう。
テンションを極力掛けないで、つまり密度を詰めないでゆっくり編み立てているので、羽織ってみると驚くほど軽いんですね。
最初から雰囲気抜群の生地ですが、洗いを掛けると生地が少し詰まって買ったシーズンにもう古着のような質感になります。
ネイビーは濃いめながら青に近い色味。
チャコールも黒みが抑えられた明るめの色味。
どちらも黒いパンツに合わせても、やや相反する色味になってくれているので、全体として重いカラーリングにならずに合わせやすいと思います。
オープンカラーのエリ部分も、ヴィンテージのワークシャツからサンプリングしているので、わざとらしくなくて良いですね。
若干難しいのが、洗ったときの縮みが普通のコットンよりも大きめに、また個体差のあるものに出るそうなので、サイズ感の選択が難しいところですね。
もう1点、素材で差がつく半袖オープンカラーシャツが、MARKAWAREの「オーガニックローン」を使用したシャツ。
MARKAWARE OPEN COLLAR SHIRTS [EXCLUSIVE] #BLACK 129949720
こちらも、軽~い、少しクタッとした質感が特徴。
COMOLIもMARKAWAREも、素材にとことんこだわったブランドなので、自然と差がついてしまうんですよね。
若干カラー展開がポップ過ぎるように感じるので、店舗限定の黒がオススメ。
風が通り抜けるような、そんな涼感を感じることが出来ます。
このシャツは、近年ビッグシルエットが多くなったMARKAWAREのアイテムの中でもやや小さめのサイズ感。
タイトという程では無いですが。
MARKAWAREのシャツはコンフォートフィットというビッグシルエットのものが人気なのですが、そういう感じではないです。
やりすぎない程度に袖が長くて、肩が落ちた今っぽいシルエット。
ちなみに、前項で述べた半袖シャツの難点を補う方法として「袖のロールアップ」が推奨されることがありますが、これは袖が短くて細いものでやってしまうと逆効果です。
ザ・腕まくりと言った感じで、とても恣意的に見えてしまいますからね。
クラスに1人はいましたよね、半袖をまくるやつ笑
二の腕見せたくてやっているのかな?とそこに視線が集中してしまいます。
袖先が縫製によって予めロールアップしてあるものも、最近は長さと太さが確保されていることが多いですね。
【参考アイテム】TROVE VALO WIDE SHIRT
TROVE | トローブ // VALO WIDE SHIRT
これくらい長さと太さがあって、ちょっと持て余すような、野暮ったくなりすぎてしまうから自然にまくる、くらいがちょうどいいのです。
オープンカラーシャツがどうしても苦手なら逃げるのも手
オープンカラーシャツの持っている属性は前述したように「リラックス」。
あとはアイテムによっては「リゾート」なんかも当てはまりますね。
この「リラックス」とか「リゾート」、あるいは「サーフ」みたいなキーワードって実は日本人にとっては鬼門となるファッションカテゴリー。
基本的に洋服映えする身体を元々持っていて初めてサマになるような服達ですから。
何故か常にそういうテイストが大好きなメンズファッション誌もあるんですが、結局は日本人離れしたモデル達の身体やキャラクターに依存したファッションではないかとおもいます。
もちろんファッション誌の役目は色々あって、エンターテイメント性や「夢を与えること」も大切ですが…。
オープンカラー、しかも半袖となると、どうしても似合う似合わないが出てきますから、あえて避ける、逃げても良いと思います。
襟の形やボタン配置によっては、オープンカラーではなくとも、開き方でリラックス感を表現出来るシャツも結構あります(最近はオープンカラーブームを受けてか意図的にそうした作りをしていることも多々あります)。
また、オープンカラーシャツは、襟下のボタンを留めることで、エリが開かずに着ることも可能。
参考アイテム marka OPEN COLLAR SHIRTS
https://www.parigot.jp/mens/sale/item-detail.html?id=11988369&itemid=11988369
この着方をすることで、着こなしに変化を付けることが可能。
ただし、首が窮屈になってしまわないようにサイズ選びには注意が必要です。
トレンド感+ヴィンテージ感、ありそうでないオープンカラーシャツ
最後に紹介したいのが、つい先日リリースされたばかりのSTEVEN ALAN(スティーブアラン)の「BOIL CHECK OPEN COLLAR BOLD SHIRT」。
トレンドのグレンチェックを、古着のような洗いざらし感のある生地に載せた、ありそうでないオープンカラーシャツ。
EDIFICEのものとは、シルエットと生地によって全く異なるテイストのものに仕上がっています。
http://store.united-arrows.co.jp/shop/sa/goods.html?did=56475019
スティーブアランの中でも「BOLD FIT」といって、昔ながらのボックスシルエットで作られています。
参考 STEVEN ALAN BOLD FIT
http://store.united-arrows.co.jp/shop/sa/goods.html?gid=32001137
大げさに肩を落としたようなビッグシルエットではなく、あくまでちょっと古くさいような「野暮ったさ」を表現したシルエット。
でもこれが今っぽい、という。
ちょっと皮肉ですよね。
ディオール・オムから始まって、細身のトレンドが到来すると、こうした野暮ったいシルエットのアイテムはどんどん淘汰されていって、定番商品の「スリムフィット」バージョンや「ジャパンフィット」などといった別バージョンなんかが数年前までもてはやされてきました。
それが今や、この野暮ったいシルエットが良い、に回帰しているわけですから…。
ちなみにスティーブアランは、アメリカ発のブランドですが、日本のスティーブアランはほとんど日本企画の日本製のオリジナル品メインのセレクトショップという業態になっています。
アメリカのスティーブアラン本体は事業の縮小を余儀なくされていますが、今ほとんどアメリカからのアイテムは入れていないそうです。
通常のサイズならゆったりと、1サイズ上げるならビッグシルエット風に着れる、そんなサイズ感ですね。
MARKAWAREやCOMOLIの生地とも違い、糸を強く撚ってある上にボイル加工が施されているので、ややクタッとしているんですが、密度も感じることが出来る、また違った質感になっています。
古着っぽいけれど、古着ではまず見つけられないアイテムです。
こういう質感で作ってくれると、トレンドの柄でも浮ついたミーハー感が出ないと言うか、リアリティがありますよね。
夏場、メンズの格好で差をつけるって本当に難しいと思うのですが、コレはそれを可能にする逸品ですね。
http://zozo.jp/shop/beautyandyouthunitedarrows/goods/32409779/?did=56475019
半袖シャツが難しいのはイメージの問題?オープンカラーシャツが流行ったのは理由があった?
私は、洋服というものを形作る要素として主に、「シルエット」「情報量」「イメージ」があると思っています。
詳しくは拙著「オシャレ脳を鍛えよう!」で解説しております。
(オシャレ脳を鍛えよう!「ユニクロでカッコよくなれる人、なれない人」|ナル男|note)
そして半袖シャツには「シャツは、長袖が基本」というイメージがまずあって、半袖シャツはそこから袖だけをぶった切ったような、中途半端な、もっと言ってしまうと少し滑稽なイメージすらあるのではないか?と思っています。
こう言ってはなんですが、サラリーマンや学生が衣替えで半袖になって、カッコいいと感じることはほとんどないと思います。
「半袖シャツはほとんど作らない」というブランドもあったりします。
これに対してポロシャツにはしっかり半袖のイメージがあるので、半袖シャツよりすんなり取り入れられるパターンが多いですよね。
オープンカラーシャツが流行った理由の一つとして、こうしたちょっと滑稽に見えがちだった半袖シャツのイメージから程よくイメージの遠い物だった、と考えることが出来ると思います。
もしも普通のシャツで取り入れたら、非常識な人に見えてしまうような柄も、オープンカラーなら「そういう物だから」とすんなりと受け入れられる。
そんな「イメージ」が、ここまで流行った理由ではないかと思います。
トレンドの兆し、ビッグポロシャツ
半袖シャツ、そしてオープンカラーシャツは難しい…というのがここまでのちょっとした結論。
じゃあ対案はないのか?ということで提案したいのが、ビッグシルエットのポロシャツ、「ビッグポロシャツ」です。
ビッグポロシャツは、今季から徐々に増えてきたトレンドです。
難易度が低いけれどつまらない…とされがちなポロシャツにかなり新鮮さを感じることが出来るのが、このビッグポロシャツ。
まだまだアイテム数自体少ないながら、オススメ品を2アイテム紹介したいと思います。
今季で2年目になる「新生・MUJILABO(ムジラボ)」。
無印良品通常ラインと比べるとユニークなサイジングや高いデザイン性、より上質かつ実験的な生地を使ったアイテムが特徴の上位ライン的存在です。
取扱が限られるところや、今季からサイズ展開が限られているのがネックですが…。
(あとオンラインショップは、すぐ在庫が無くなってしまいます…。)
このムジラボ、2年めの春アイテムから絶好調で、良品の宝庫だったわけですが、夏アイテムで最も良かったのがこのドロップショルダーポロシャツ。
肉厚な生地に、しっかりと落ちた肩、細かいところですがこの値段ではなかなか無い高級感のあるボタン等など。
2サイズ展開しか無くてサイズがほぼ選べない、ということ以外は、値段から考えれば言うことなしのアイテムです。
既にかなり品薄になっているので、お早めに。
もう1つ紹介したいビッグポロシャツが、UNITED TOKYO(ユナイテッドトーキョー)の「ビッグニットポロ」。
ミラノリブと呼ばれる、編み物であるニットながら、織り物のようなしっかりとした編地で作られたアイテム。
ムジラボドロップショルダーのようにガッツリと肩を落としたような作りではなく、やりすぎない程度に、全体的に大きめに作られたポロシャツといったイメージ。
生地がミラノリブニットでハリ感が強く、腰にスリットが入っていることによってストンと伸びやかに落ちてくれるのでシルエット再現率が高いですね。
http://zozo.jp/shop/unitedtokyo/goods/29203931/?did=53727017&rid=112380941
発色も通常ポロシャツに用いられるような鹿の子に比べると鮮やかで、オレンジも綺麗。
無地を選ぶとデザイン性は殆ど無いシンプルなポロシャツながら、シルエットと生地感で差がつく次世代のポロシャツになっています。
こちらもジャストサイズならちょっとゆるめくらいで、サイズを1つ大きくすることによってビッグシルエット感が出る感じ。
やや難易度が高いオープンカラーシャツに比べて、ビッグポロシャツは難易度が低いのがメリット。
その代り、そのシルエットを再現するために鹿の子やミラノリブニットを使っているため、35℃を超える真夏日に使用するのはちょっと無理があるかもしれません(ここらへんは人それぞれなところがありますが…)。
セールに加えてかなり暑くなってきて、今くらいの時期までが半袖シャツを入手するラストチャンスかなと思います。
そして早くも今週から秋物のリリースラッシュとなり、リサーチと記事執筆に追われていますが、今年後半戦も頑張りたいと思います!
暑い日が続きますが、皆様体調にもお気をつけて。