22下半期、無印良品が衣料品開発を刷新、男女兼用シリーズは廃止の方向に…無印良品でお洒落するのは、ますます難しくなる?それでも無印良品は、ユニクロとの差別化と匿名性で生き残る!
22下半期、無印良品が衣料品開発を刷新、男女兼用シリーズは廃止の方向に
先日、無印良品が衣料品を改革していくことが各種メディアで続々と発表されました。
その一環として、最近続いてきた「男女兼用シリーズ」を廃止するようです。
どうも今季の無印はおかしいな…と思っていたのです。
ここのところ注目していた無印良品の男女兼用シリーズがこの秋冬はリリースが無い。
新商品のカテゴリーから、「男女兼用」が消えている…と。
無印良品の男女兼用(ユニセックス)への取り組みは、19年のMujilabo(ムジラボ)から始まりました。
ムジラボとは、無印良品における実験的かつ実質的な上位ラインと言える存在です。
トップスに関してはサイズをXXS-XS、S-M、L-XLの3サイズ展開として、男女の垣根を排除しました(パンツはもう少し細かいサイズ区分でリリースされます)。
これを無印良品の通常ラインでも始めたのが、男女兼用シリーズでした。
保守的・無難でトレンドに乗り遅れた無印にあって、気を吐いていた男女兼用シリーズ
無印良品通常ラインにおける男女兼用シリーズは、21年より本格的にスタート。
スタートからチャイナシャツが話題を呼び、さらに8000円で買えてしまう撥水トレンチコート、色味が魅力的なストレッチボアフリースジャケット等、良品を次々と送り出しました。
21AW 両面起毛フランネル結び釦ミドル丈シャツ
21AW 撥水トレンチコート
21AW ストレッチボアフリースジャケット
22上半期でも、無印良品のシャツで歴代ナンバーワンではないか?というカポック混オーバーシャツ、さらにバルーンシルエットのパンツなど挑戦的なアイテムを男女兼用シリーズからリリースしました。
22SS カポック混オーバーシャツ
22SS ヘンプ洗いざらしバルーンパンツ
元々、保守的なサイジング故に、かなり無難な印象になりつつあり、「お洒落になりたくて買う服」では段々となくなってしまった無印のアパレル。
2010年台中盤までの、タイト・コンパクトな洋服が流行っていた頃は良かったものの、そこからトレンドが変わってゆったりした服が流行すると、完全に乗り遅れてしまったのです。
とにかくシンプルがウリな無印ですが、シンプルなだけでは選ばれにくくなってきた流れも逆風に。
そんな中で気を吐いていたのが、男女兼用シリーズだったのですが…。
男女兼用それ自体に価値やメリットがあるわけではない
ただ、もちろん男女兼用であること、それ自体には消費者にとってメリットらしいメリットはありません。
XXS-XS、S-M、L-XLの3サイズ展開では、メンズにとっては実質S-M、L-XLの2サイズしか選択肢がありませんし。
カップルや夫婦で洋服をシェア・共有する、みたいなことも果たしてどれだけ行われているか…。
男女だと、同じくらいの身長でも、着たときの服のシルエットが全く変わってしまうのでね…。
その代わり、無印良品通常ラインでは従来見られなかったような、トレンドに沿ったデザイン、素材使いなど、要するに「良品」がある可能性が高かった。
そこに男女兼用シリーズの魅力があったわけで、男女兼用を廃止しても、良品を作ってくれるなら何の文句もないわけです。
ただ現状、そうはなっていません…。
男女兼用シリーズにあった、前述撥水トレンチコートやストレッチボアフリースジャケットは仕様を変えた後継アイテムがレディースラインへ。
メンズラインには、該当するアイテムはありません…。
今後は、男女兼用シリーズから出てきたようなデザイン性のある面白みのあるアイテムや思い切ったサイジングのアイテムはレディースのみで展開され、メンズはますます保守的なアイテムばかりになる可能性が…
残念ながら高そうです。
無印良品は、ユニクロとの差別化と匿名性で生き残る!
ただ無印良品の服に全く魅力が無くなってしまうのか?と言うと、そうは思いません。
同価格帯と言えるユニクロとの比較においても、まだまだ生き残ることが出来ると思っています。
1つには、ユニクロとの差別化。
例えばユニクロの冬の代名詞ヒートテック。
最近はレーヨンなども使われていますが、基本的にヒートテックと言えばポリエステルなどの化繊素材で作られています。
一方で無印良品がこの秋冬で打ち出したのは「あったか綿」です。
このあったか綿シリーズは、ヒートテックとは異なり、天然素材100%をウリにしています。
天然素材だから、肌への優しさをアピール出来るし、また寝間着にすることにも適しています。
無印良品がユニクロと同じく化繊機能性インナーを発売しても、なかなか厳しいでしょうが、しっかりと差別化することで、無印で買うことの意味を訴求出来ていますよね。
これはヒートテック等のインナーと比較してまた別の機会にレポートできればと思っています。
また無印良品は、アイテムの匿名性の高さも大きな魅力。
例えば、プルオーバーパーカー。
無印良品 スウェットプルオーバーパーカー
ユニクロのプルオーバーパーカー、めっちゃ良いみたいな話は至る所でされていて。
実際売れているし、着られているし、You Tubeでは何十万回とその話が再生されてしまっているわけですよ…。
故に…着づらい。
ユニクロのアイテムは実際被るし、知られてもいるので。
今どきユニクロバレとか気にしていることのほうが恥ずかしい時代かもしれませんが、どこのアイテムか分からない匿名性っていつの時代も需要あると思うんですよね。
そして無印のパーカーは、とにかくシンプルなのがウリ。
ヒモも無いし、カンガルーポケットも無い。
フードも被るには小さい、コンパクトなもの。
シンプル過ぎるくらいシンプルで、生地も厚手過ぎないので、パーカーをインしたレイヤードスタイルにもってこいです。
生地の厚みだったり、ポケットが付いていたり、フードのボリューム感だったりと、おそらく一枚で着たときの見え方、そしてスペック的なところで言うと、ユニクロ>無印になるのだと思います。
(そこまで大差あるとは思わないですが)
ただ洋服はスペックが全てではないですし、レイヤードで使うなら、これくらい潔くシンプルなディテールの方がゴチャゴチャしなくて良い。
厚過ぎない生地の厚みもレイヤードではむしろ有利。
ただこれはユニクロにも言えますが、無印良品の通常ラインはサイズ感が小さい…。
メンズだと、Lから試着を試みるくらいでちょうど良いですよ。
店頭だとXLくらいまでは置いてあるので、XL=大き過ぎるみたいな固定観念は捨てて試すことをオススメしますね。
無印のLサイズは、ブランドのSくらいです。
ユニクロのアイテムが売れれば売れるほど、有名になればなるほど、ユニクロとは違うことが大きなアピールポイントになります。
太陽と月じゃないですが、無印良品を完全に捨て去ることはもったいない。
ちょっとパンツ・ボトムス類は今無印だとシンドいですが、トップス類ならまだまだ使えるアイテム多いのです。
果たして男女兼用ラインのような面白みのあるアイテムはこれから先出てくるのか?とは思いますが、無印これからも追いかけていきますよ。