無印良品のMUJI Labo(ムジラボ)、遂に「シンプルで上質」という皆が望んだ普通のブランドに変貌!?
2017年にリニューアルされて以来、すっかり定着していた無印良品の実験的かつ実質的な上位ライン、MUJI Labo(ムジラボ)。
これまで数々の名作と迷作を同時に送り出してきたムジラボ、遂に2023年下半期、「普通のブランド」に変貌するようです。
皆がムジラボに期待していた「シンプルで上質」を体現するブランドになってくれる予感です…!
そもそもMujilabo(ムジラボ)って何?17年リニューアル、決して「無印らしい」シンプルなブランドでは無かった?
Mujilabo(ムジラボ)は、12年にスタートした無印良品の特別なラインです。
不定期・散発的なプロジェクトでしたが、これが17年にリニューアル。
オンラインと一部店舗のみの取り扱いですが、継続的に展開される、無印良品における実質的な上位ラインと位置づけられるものになりました。
価格帯も明確に無印良品通常ラインよりも高めに設定されています。
使われている素材なども通常ラインよりもバージョンアップされたものが使用されています。
ただ「無印良品をそのままアップデートしたラインではない」というのがムジラボの面白いところであり、難しいところ…。
おそらくムジラボに皆が望んでいたのは「シンプルで上質」ということだと思うのですが、ムジラボは長い間決してそういうブランドではありませんでした。
無印良品通常ラインではほとんど取り入れられていなかったドロップショルダーなどトレンド要素を積極的に採用。
それだけにとどまらず、ムジラボしか採用していないデザインもどんどん打ち出していきました。
近年は解消されましたが、長い間トップスの着丈が極端に短かったり。
ボタンの数が極端に少なかったり。
ムジラボはある意味特異な、ガラパゴス的な進化を遂げてきたブランドなのです。
例えばボタンの数は「洋服のボタンの数って多過ぎない?脱ぎ着しやすいように少なくしよう」という意図があってのこと。
ただそれでもムジラボに組み込まれた、数々のアイデアはなかなか受け入れ難いものも多く。
ユーザーとしては、それらのアイデアがあまりに際立ち過ぎていない、「より普通の洋服に近いもの」をわざわざ選んでいたところさえあります。
リニューアル後、ずっとムジラボを追ってきた者としては本当そこらへんがもどかしく…。
そのポテンシャルは確かに感じられるのに…と。
長らく続いた3サイズ制を廃止!選べるサイズ、普遍的なデザイン…ムジラボは皆が望んだブランドに!?ムジラボのサイズ感は無印通常ラインと一緒で良い?
ムジラボの「普通のブランドとの乖離」の象徴と言えるのが、19年に導入された、トップス類のXXS-XS、S-M、L-XLの3サイズ展開。
この年から基本的にアイテムに性差を設けない、完全な男女兼用(ユニセックス)化をしたことに伴って行われた施策でした。
アイテムにもよりますが、これによりメンズは実質S-M、L-XLの2サイズのみから選ばなければいけなくなりました。
小さいか、大きいか、だけの選択となり、無理矢理どちらかに寄せて着るか、この中間くらいのサイズだったら…みたいなアイテムは諦めざるをえず。
しかしこれが23年下半期より廃止され、XS、S、M、L、XLの5サイズ展開に。
(男女兼用は継続)
ようやく、ようやくまともにサイズ選べるようになったのです…!
Mujilabo 天竺編みハイネック長袖Tシャツ 燃えにくい素材を使ったカバーオールジャケット
ちょっと大きいな、ちょっと小さいな…でサイズを変えられる幸せ。
まあこれが、当たり前なんですけどね。
この変更には遠因があって、ムジラボに先駆けて、無印良品は通常ラインにおける男女兼用シリーズを昨年廃止したのです。
無印良品の男女兼用シリーズは、いわばムジラボのDNAを無印良品通常ラインにフィードバックさせたようなシリーズ。
サイズ展開もトップスはXXS-XS、S-M、L-XLの3サイズでした。
無印良品通常ラインらしからぬ、独創的なデザインのアイテムを多く生み出しましたが、これが売上の阻害要因であるとされ、いわば槍玉にあがる形で廃止に。
その流れが、ムジラボにも波及したと言えるでしょう。
サイズ展開の変更以外にも変化は見えており、無印良品通常ラインにありそうなアイテムが、ムジラボ規格となってどんどん登場しているという印象。
定番のハイネックカットソーなど、従来の良品もその良さを損なわずリニューアルされていたり。
Mujilabo 天竺編みハイネック長袖Tシャツ
皆が思う「シンプルで上質」というブランドに、かなり近付いていると言って良いでしょう。
さて、「普通のサイズ展開」になったムジラボ。
サイズ感はどうでしょうか?
2023年下半期現在のムジラボは、かなり落ち着いたサイズ感となっています。
2022年上半期は小さいサイズでもかなり大きい、過剰なまでのビッグシルエット期と呼んでよかったのですが、今はもうその面影はありません。
ムジラボはデカい、というイメージは今はちょっと違う、と抑えておきましょう。
もちろんアイテムによりますが、基本的には、無印良品通常ラインのサイズ感に限りなく近付いたと見て良いでしょう。
無印良品の通常ラインと比べると、まだまだムジラボの方がトレンド寄りのシルエットを採用しているため、若干ゆとり感があることが多いのですが、その差はどんどん縮まってきているように感じます。
かつては無印良品通常ラインはトレンドと乖離して小さかったので、その差が大きかったのですが、今は無印良品通常ラインもだいぶ大きくなりました。
無印良品通常ラインでLサイズの人なら、ムジラボでもLサイズ、ちょっと大きいならMサイズに落とす…くらいのサイズ感の幅の取り方でOK。
適正サイズが2サイズ違う…っていうことは、およそ無いのではないかな?と。
ハイネックカットソーのような従来からの継続品番の場合、表記的には従来のL-XLサイズは新LサイズとXLサイズの中間くらいになりそうですが、そうではありません。
旧L-XLサイズは、新MサイズとLサイズの中間となるので注意が必要です。
変わりゆくムジラボですが、変わらないところも。
シャツのボタンは相変わらず少なめですし、何よりムジラボの象徴とも言えるハンガーループ。
通常は洋服の内側に付いているこのハンガーループ、ムジラボではほぼ全ての服の外側に付いています。
ニットなど取り付けるのが難しい一部のアイテムを除いて、ほぼ全てのアイテムに取り付ける徹底ぶり。
このハンガーループに関しては、「無かったら良いのに…」という声もよく聞くので、通常の無印良品的判断で言うと「取ってしまおう」となると思うのですが。
ここらへんがブランド的というか、デザイナーのこだわりを感じるところなので、社長に止めろと言われても続けるのでは?と思っています。
進む無印良品通常ラインとの同一化、ますますクオリティーが問われる
さて、ある意味で無印良品ユーザーにかなり近い存在になりつつあるムジラボ。
度々指摘してきたように、従来の無印の顧客層をぶっちぎってしまっていることも多々ありましたから…。
高いし、デザイン変だし、何なのよ…という時期も絶対あったでしょう。
Tシャツだけは売れるんですけどね。
無印良品とムジラボが、かつてなく接近しており、今後は無印良品通常ラインとどれだけクオリティーの違いを見せられるか?がカギになるでしょう。
もう既に、ムジラボなんだけど、無印良品通常ラインっぽくて、値段だけ高い…と感じさせるアイテムも出てきてしまっているので。
それでも…「シンプルで上質」を安くはない、けれど決して高過ぎることはない…という価格で提供してくれるブランドに近付いたことは、もう手放しで歓迎するべきでしょう。
今後のムジラボ、期待大です。
無印良品通常ラインも変わってきています