魅力的なアルパカ製品を送り出す 「THE INOUE BROTHERS…(ザ イノウエ・ブラザーズ)」と「MARKAWARE(マーカウェア)」。今の時期から使えるストールマフラーとスヌードをピックアップ!
今年は暖冬だ暖冬だと言われていましたが、いよいよ冬が来てしまったな…という11月終盤。
嬉しいやら焦るやらで、こんな感じで慌ただしく年末もすぐ来てしまうのでしょう。
しかしなかなか難しいのが冬服へのシフトチェンジ。
いきなりガッツリ本格的真冬仕様、というわけにもいかず、少しずつ少しずつ足していく、変えていく…わけですが、今の時期から下ろし始めるのにピッタリな「アルパカ」のマフラーやネックウォーマーを紹介したいと思います。
MARKAWARE(マーカウェア)の貴重なブラックアルパカの「まんまの色」を味わえるスヌード、こんなの欲しかった!
アルパカの毛は中央アンデス高知の過酷で極端な温度差に適応するように成長するため、周囲の気温変化に対応する、繊維の中央が空洞になったユニークな構造を持ちます。
スケール(毛を覆う「うろこ」のようなもの)も緻密だから絡まりづらく、毛玉になりづらいから長く使えるとされています。
確かに私もマフラーとして使っていて、ここまで毛玉にならないものか…とちょっと驚くほど。
そんなアルパカですが、もともと36色に分類されるほど豊富な天然色を持つ動物だったそう。
それが染めやすい白ばかり飼育されるようになった結果、90%が白に。
残された天然色のうち、特に黒は希少で、およそ1000頭に1頭ほどしかいないのだとか。
そんな希少な「ブラックアルパカ」のアイテムを送り出すのが、素材に絶対的な自信とこだわりを持つブランドMARKAWARE(マーカウェア)。
私も毎期必ずスラックスを買う、大好きなブランドです。
昨年まではこのブラックアルパカを使ったアイテム、大変魅力的ながら、どれもやや高額で手が出しにくかった…。
MARKAWARE MAC COAT ALPACA W-CLOTH #NATURAL BLACK
今年は従来のコート類などの「大物」に加えて、手袋やニット帽、そしてスヌードと、比較的手頃な価格で手に入る小物アイテムがラインナップされました。
その中でも断トツでオススメなのがスヌード。
単体の画像ではよくわからないかもしれないのですが、染めたような完全なブラックではなく、少し茶色掛かった「ブラックブラウン」といった色味になっています。
ところどころ白い毛が混じっているのもナチュラル。
もちろん真っ黒も良いのですが、より温かみのある色なので、同じくブラウン系のコートやブルゾンと合わせると、統一感のあるコーディネートになります。
また何と言っても、このスヌードのボリューム感がちょうど良い。
昨年も言ったのですが、もう過剰にボリューム感を出すようなスヌードは求められていません。
ネックウォーマーのような、さりげなく付けられる適度なボリューム感のものがベスト。
特に今季はフードアイテムがいつにもまして多いトレンドですが、こうしたフードアイテムにマフラーやストールだと、フードが寝てしまったり、マフラーが窮屈になったりと、大概どちらかが足を引っ張ってしまいます。
フードアイテムには、収まりがよく干渉しづらいスヌードやネックウォーマーがベターです。
クルーネックタイプのニットとも相性がすこぶる良い。
ただ…このタイプのスヌード、素材が良いものが本当に無い!
値段は安くても、化繊の配合が多すぎたりで、首周りに付けるのにはちょっとどうなの?というものが多く…。
肌当たりの優しいアルパカはまさにベスト。
もちろんアルパカ100%使用のアイテムです。
しかもお値段も決して高くは無いと思います。
今季のスヌードはこれが一番でしょう。
「ナチュラルブラック」はMARKAWARE本店のParkingと限られた取扱店のみの限定アイテム(単なる「ブラック」は染められたもので別カラーなので注意を)。
ナチュラルブラック以外の色も非常にオススメです。
MARKAWARE ALPACA SNOOD #DARK SILVER GRAY
私もとりあえず最初の1本はナチュラルブラックを確保しましたが、2本目行っちゃおうかな?とも思っています。
あとで紹介するイノウエブラザーズが良いアルパカマフラー・ストールを作ってくれているなか、スヌードでこんなの欲しかった~!というアイテムです。
すっかりスタンダードなアイテムになったTHE INOUE BROTHERS…(ザ イノウエ・ブラザーズ) のアルパカスヌード
THE INOUE BROTHERS(ザ イノウエブラザーズ)は、
デンマーク・コペンハーゲン生まれの井上兄弟が設立したブランド。
僕たちはファッションの力で世界を変える ザ・イノウエ・ブラザーズという生き方
今年は本も出版されました。
「THE INOUE BROTHERS...」の由来は、「嘘のない仕事をする誓い」としてブランド名に本名を冠し、さらにブランドを兄弟だけのものに限定したくないと最後の「…」を付けたそう。
(ほんとふざけたハンドルネームで活動している誰かに聞かせてやりたいですね…。)
なかなか読み応えがある本でした。
特に、井上兄弟が生まれ育った、今世界で一番幸せな国と言われるデンマークへの反発心など現地で育った日本人だからこそ感じられる視点だったりして、興味深かったです。
本は他人の人生の追体験的なところがあると思うんですが、この本はその要素がすごく強くて。
少なくとも、個人で成功した本業で稼いだお金を、この世界を変えたいとつぎ込み続け、紛争地帯なども含めて世界中を巡る。
こんな人生絶対に真似できないだろうと。
色々な意味で、「アパレル本」「ブランドの宣伝本」を超えた厚みがあります。
最近は本って体のいい宣伝媒体にされていることも多く、結局何かの宣伝かよ!っていう本もありますが、この本はそういう本ではありません。
アパレル関連、といった先入観からか、なかなか本そのものとしては注目されていない気もするのですが、良い本ですよ。
…ただ本当にその「ストーリー性」も素晴らしいんですが、やっぱりこのブランド、見て欲しいのはアイテムの、「モノの良さ」。
毛羽立ちの無いクリーンさと、シルキーな、品のあるジワッとしたツヤ感。
私もイノウエブラザーズのことは情熱大陸を見て、なんとなくレベルでは知っていました。
現地のアルパカ農家と共存共栄していく取り組みをしている日本人がいると。
でも、イノウエブラザーズのアルパカマフラーを最初にお店で手にとったときの私はそんなことは知らなかったですし。
良いものが見つかった、そしてそれがそんな取り組みの元で作られていたことでさらに喜びを感じた。
この順番が大事だと思うんですね。
何かと「ストーリーが大事だ」「人はストーリーにお金を出す」なんて言われる時代ですが、最初に「ストーリー性ありき」っていうのはおかしくて、まずは「モノありき」だと思うんですよ。
そうじゃないと意識だけが高い、手にとってもそっと元に戻してしまうようなブランドになってしまいます。
店員さんの説明が続き、じゃあ買うか…とボランティア的な買い物になってしまって、後が続かないですから。
上記の本もストーリー性を生むことを目的としたお話というよりも、製品の向上を目指して悪戦苦闘した結果としてストーリーが生まれた、という話なんですね。
まあ本を読んで思うのは本当はセーターとか見て欲しいんだろうとは思うのですが、アルパカという素材への入り口として、マフラーストールは最高のアイテムになっています。
イノウエブラザーズは毎年取扱店が増え続け今やセレクトショップのマフラー・ストールのスタンダードアイテムになりつつあります。
なかなか無地で、ここまで素材の良さを押し出してスタンダードになるマフラーって少なくともメンズではなかなか無かったと思います。
イノウエブラザーズのマフラーストールは、ベビーアルパカ100%を使用。
ベビーアルパカは、名前からは皮革製品やその他の毛製品の「生後何ヶ月、何歳までの毛」といった定義を想像してしまいますが、「赤ちゃんの毛のように細い背中の毛」という定義で、一本の繊維の太さの平均値が21〜23㎛(マイクロン、1mmの1000分の1)であればベビーアルパカとされるそう(もちろんベビーのアルパカから細い毛が採れやすいのは事実だそうですが)。
毛玉の出来やすさを1~5(数字が少ないほうが柔らかい分、毛玉になりやすい)で表すと、カシミヤは大体2くらい、ベビーアルパカは4~5だそう。
だから毎日毎日使うようなシチュエーションにはベビーアルパカの方が向いているそう。
実際私も2年間ヘビロテしてきて、もちろん新品時に比べればくたびれた感じはあるものの、毛玉は本当に出来ないのでびっくりしています。
カシミヤも大好きですが、「毎日のように気軽に、でも良いものを使いたい」という場合はベビーアルパカがオススメなのです。
(ちなみにやはり肌当たりの柔らかさ自体はカシミヤの方が上だと感じます。)
イノウエブラザーズの無地タイプのマフラーストールは大まかに2タイプあり、1つが
「幅30cm×170cm」程度のマフラータイプ。
http://zozo.jp/shop/estnation/goods/34256093/?did=61954598
名称や若干の採寸違いはありますが、こちらは1万円程度の非常に手頃な価格で手に入ります。
クルンと一巻きにしたり、ワンループで通したりして使います。
私が愛用し、またオススメしているのが「幅70cm×長さ190cm」程度のやや大判なストールタイプ。
大体17000円前後で売られています。
http://zozo.jp/shop/luis/goods/35840925/?did=61508624
こちらはラフに巻くだけでも、程よいボリューム感と良い意味でのラフさが出せます。
非常にソリッドで膨らみにくい素材なので、ウールの大判ストールにありがちな大げさなボリュームが出てしまうなんてこともありません。
今季は限られたセレクトショップでしか扱わないそうで、ちょっと残念なのですが、できれば両方とも試して自分にシックリ来る方を選んでほしいですね。
都内に2店舗を構えるBLOOM&BRANCHでは、この大判モデルに加えて今まで生産されたことのない「カーキ」も登場。
http://bloom-branch.shop-pro.jp/?pid=136335249
実物はクリアで綺麗なカーキなので、グレーなどと合いそうな注目カラーです。
何かと構造的な問題点を指摘されるアパレルの世界。
もちろん私達消費者は、アパレル産業のすべてをお店で手にとった服から知るなんてことは出来ません。
もしかしたら、発展途上国で劣悪な環境で子供まで働かせて作られているのかもしれないし、メイド・イン・ジャパンと謳われていても、外国人実習生を奴隷のように働かせて縫製させたものかもしれない…。
それは本当に分かりません。
分からないから、もう服は買わないなんてことは出来ないし、かと言って、分からないから全部無視、無かったことや見ないことにするなんてことも、ちょっとどうなのかなと胸に引っ掛かるものがあったり。
イノウエブラザーズのようにまっすぐに問題に立ち向かっていく強さを誰もが持つなんて到底無理だけれど、このブランドが存続する限り応援したい。
そういうほんの少しの志と良い製品を享受するっていう、ある意味ズルい、いいとこ取りを消費者はしても良いんじゃないかと思っています。
「VS」なんて下品なタイトルにしちゃいましたが、どちらも素晴らしいモノづくりをしています。
アルパカを語る上で欠かせないこの2つのブランド、今後協業し合うこともあったりして?
「アルパカという素材への入り口」に最適なマフラーとスヌード、是非見てみてください。