ZOZOプレミアム・ZOZOプラチナムが2017年7月いっぱいをもってサービス終了へ、これによって返品送料無料が無くなる?返送料無料を温存するAmazonにどうやって対抗する?地方のショップに導入して欲しいモノ、ノーリスクに飼いならされない消費者に
ZOZOタウンの強みの1つだった返品無料サービスが廃止か…?
ファッション好きなら使わない人はいないくらいの通販サイト「ZOZOTOWN」。
2000年台中盤から大手セレクトショップと次々と連携することに成功し、取扱いブランドを急増させ一気にファッション通販最大手に成長しました。
2015年11月、 月額350円で配送料0円、返品無料0円となる「ZOZOプレミアム」をサービス開始。
月額350円を払えば、実質的に送料というものを全く気にせずに、ZOZOタウンにある服や雑貨なら試着し放題、試し放題という状態でした。
このサービスが2017年6月28日、突如7月いっぱいをもっての廃止が決定。
新規のサービス加入は即時停止されてしまいました。
サービス停止の理由は?今後同様の返品送料無料サービスが行われるのか?
サービス停止の理由は
「昨今の物流業界を中心としたサービスをご提供する環境の変化に伴い」
というもの。
これは昨今大問題となっている配送業の労働環境の悪化、またこれによる人材確保の難化などを指していることは明らかです。
即日配送サービスはZOZOプレミアム・プラチナムサービスの終了後も
1注文あたり350円(税込)にて、通常サービスとして引き続き利用できるとのこと。
(つまり、現在の通常会員と同じように1注文ごとに料金が取られることに注意が必要)
この即日配送サービスも、先日6月12日をもって「当日注文、当日到着」という「当日配送」は廃止され、最短でも翌日到着となる仕様に変更されています。
今後返品送料無料サービスが継続されるのかは不透明ですが、おそらく廃止になるのではないでしょうか?
ZOZOタウンをよく利用される方ならご存知のように、ZOZOタウンとヤマト運輸は配送センターを共有し、かなり密な関係で配送を行っています。
即日配送サービスも、返品送料無料もこの密接な関係があったからこそ出来たわけで、ヤマトが労働環境問題で苦しい今、
ZOZOタウンだけがヤマトのリソースを過大に消費することになる返品送料無料サービスを継続するわけにはいかないのではないでしょうか?
返品送料無料が無くなったあとのZOZOタウンはどうなる?
結論から言えば、おそらく返品送料無料化の施策がなくなったとしても、ZOZOタウンのファッション通販サイトとしての地位は変わらないでしょう。
1つは、ZOZOタウンの業界での地位の強化がますます進んでいること。
直近の決算におけるZOZOTOWN事業は前年同期比40.3%増を達成しています。
返品送料無料は、確かにZOZOTOWNの強みの1つだったかもしれませんが、取扱いブランドを着々と増やし続け、ファッション通販ならまずはココ!という存在感を強めた今、そこまでの痛手とは思えません。
ZOZOタウンに唯一対抗できるAmazonが返品送料無料制度(しかも30日間と従来のZOZOタウンの返品制度の倍の期間返品の猶予がある)を温存しているとはいえ
Amazonはファッション分野においてZOZOタウンとは微妙に競合する範囲がズレているということもあって即座にAmazonに流れるとも思えないのです。
またAmazonはファッション分野においてはどうにも特有の使いづらさがあります…
買う目的のアイテムが決まっていれば便利なのですが、目的もなくネットサーフィン感覚でショッピングを楽しむには不向きです。
さらにZOZOタウンは、関連アプリの「WEAR」などを使った着画が豊富にあるので、その点で優位性も持っています。
もう1つは、返品送料が無料ではなくなっても、おそらく返品制度は残ります。
これで返品が全くできなかった時代に戻るとなると大問題ですが、返品制度があれば送られてきた商品がもし気に入らなかった、
似合わなかったという場合の保険は残ります。
返送料という名の保険料が掛かるようになったといだけですね。
今までその保険料が月額350円だけで良い、とある意味不当に安かっただけではないでしょうか。
豊富なブランド群と返品制度があれば、ひとまずZOZOはAmazonと戦っていけると思います。
今後Amazonがファッションにますます本腰を入れてきた場合、情報提供力がカギに?
今後ますますファッション分野の強化を推し進めるであろうAmazon。
これに対してZOZOタウンが、返送料無料などのサービス競争以外で打ち勝つにはどうしたら良いのでしょうか?
私はやはり「WEAR」などによる情報提供力がカギになってくると思います。
身長が180cmをゆうに超えるモデルによる着画は服をカッコよく見せる上では絶大な効果がありますが、やはりサイズ感を伝えたり、もっと言うと「現実感」というか「リアルにどうなの?」という部分を伝えるには不向きです。
既に東京ガールズコレクションなどでは、目の前でモデルが着ていた服をその場でネット注文できるなど「リアル感」を越えた「ライブ感」すらも取り入れる流れになっています。
ZOZOタウンは大量にプログラマーを募集し、サイトを0から作り直すことを公表しています。
今とどう変わるのか?
「消費」を変えるような面白い仕掛けがあるのでしょうか?
何はともあれ、差を生むのは情報提供力です。
私も東京になかなかアクセス出来ないところに住んでいた頃、通販でよく服を買っていました。
返送料無料どころか、返品すらほとんど出来ない時代です。
ポイントなどの細かいサービス力よりも、「いかに情報を提供してくれるか?」が通販での購入を決断する上でのカギでした。
ブログで事細かに情報を提供してくれるお店ほど、この時代でも生き残っていますよね。
ZOZOタウンくらいの規模になると、なかなか一点一点の細かい情報提供が難しくなってくるとは思います。
例えば購入者に着用感などの細かいレビューをするとポイントを還元するなどインセンティブを与えるというのはどうでしょう。
これにより、個々の服に関する情報密度はさらに高まると思います。
このようにある程度規模を持っていないと出来ないサービスも考えられますね。
あとはやはりインセンティブのない情報提供って、情報精度というか信用度が下がるというのもあります。
このことに「WEAR」よりも投稿がしやすいレビューの仕組みが整うと、情報提供力が格段に上がる気がします。
地方のショップも、Amazonペイや楽天ペイの決済を導入するだけでも…
私の場合、より良いアイテムを求めて、地方のショップでも定期的にチェックしているところは多いです。
「靴」などの大物になると現地まで行くことも決して珍しくはありません(もちろんそれだけが目的ではないですが…)。
魅力的なアイテムは都内より地方に残っている、という事態も多いです。
ましてやネットで在庫を探し回るなら、もはやどこのショップか?は関係ないですしね。
そして、いざ買おう!となったときに、ある店とない店で決定的な差異になってしまうのが「Amazonペイ」や「楽天ペイ」ですね。
「Amazonペイ」はAmazonアカウントを使って支払いや配送先の入力が出来るというもので、Amazonアカウントさえ持っていれば
AmazonIDとパスの入力だけで、いつものAmazonを使うように、配送先も支払い方法も入力要らずで、最短2ステップで購入手続きを終えられるのです。
個別のネットショップでの購入者情報のデータ入力、カード情報の入力って結構ストレスだったりしますよね?
使っているブラウザによっては自動入力機能があったりしましが、それも完璧ではないですし。
Amazonペイは別にAmazonに出店するのではなく、ただAmazonアカウントの仕組みを利用するだけなので、導入のハードルは出店ほど高くないはずです。
地方のちょっと敷居の高そうな、こだわりのセレクトショップでも導入してたりします。
「楽天ペイ」は、決済手段の1つとして楽天IDを使うというもので、楽天ポイントが使えたり、溜まったりします。
これは配送先の情報などは入力しなければならないし、クレジットカードのセキュリティーコードは入力しなければならないなどAmazonペイに比べると手間が掛かりますが、やはりあると嬉しいですね。
せっかく購入によってポイントを貰えても、使う機会が無いならインセンティブとしての価値は低くなりますし。
もちろん仕入れる商品・ブランドのクオリティなども大切ですが、こういった細かいところも実は差になってくると思います。
Amazonペイ、ほんと便利なんだよな~…。
ノーリスクに飼いならされない消費者に
返品し放題から、返品に送料がかかることによって、ある意味フェアな状態に戻ったようにも思います。
ブラック企業問題をはじめ、誰かが誰かを奴隷にすることは簡単には出来ない、そういう世の中へと舵を切り始めているのではないでしょうか?
あとはリスクの問題。
返送料無料は、手間の問題がありますが、一応金銭的には失敗することのないノーリスクでの買い物を実現出来ていました。
でもやっぱり、ノーリスクで手に入るモノって限られますよ。
良いブランドほど、自信の裏返しとして返品自体出来ない仕組みを取っていたりしますし…。
別に返品出来ないブランドが良いブランドだってわけじゃありませんが、ノーリスクで買い物出来るところばかり探していると、やっぱり色々限られてきます。
例えばリアル店舗の話ですが、服を選ぶのに店員さんと会話をしたくない、ってだけ考えてしまうとユニクロや無印良品にしか行けなくなってしまったり。
ノーリスクに飼いならされてしまうと、どんどん選択肢が少なくなってしまいます。
とにかく「損をしたくない」という時代になっているとも言えるんですが…。
「家の周りにショップが無いので、試着出来ません」という時に、ブランドやショップが何の手がかりも発していなかったら、もう諦めるしかないですよね?
誰だって分の悪いギャンブルはしたくないものです。
だから、ブランド・ショップにとって情報発信力が何より重要になってくるんです。
そんな時代に個人ブログも何が出来るか?
キュレーションサイトなどの表面的な情報提供に負けない、情報提供+αの「視点の提供」を行っていく必要がありますね。