服が人に合わせる時代になる?あのZOZOがプライベートブランド を発表!まずは瞬時に身体のデータを測定出来る「ZOZOSUIT」を配布!今までにないサイズ展開がなされる!?サイズは心の問題?本当に「正しいサイズ」ってあるのか?
ZOZOSUITとは?ZOZO新ブランドは豊富なサイズ展開の布石か
今やファッションオンライン通販と言えばZOZO、というくらい浸透した株式会社スタートトゥデイ運営のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」。
そのZOZOTOWNが、プライベートブランド「ZOZO」の販売開始に先駆けて、「ZOZOSUIT」の配布予約を開始しました。
参考
新ブランドZOZO http://zozo.jp/pb/
ZOZOSUIT http://zozo.jp/zozosuit/
ZOZOSUITとは、「身体を瞬時に測定することの出来るボディースーツ」のようなもの。
上下のピッチリとしたボディースーツにはセンサーが内蔵されており、スマホのアプリを同時に使うことで、簡単に身体の数値を計測出来るとのこと。
利益の回収は新ブランドで…とはいえこれを無料配布しちゃうのは凄い。
ZOZO新ブランドのキャッチコピーは
「人が服に合わせる時代から、服が人に合わせる時代へ。」
これだけ聞くと、ZOZOのプライベートブランドはかなり豊富なサイズ展開を想定しているように思いますがどうでしょうか。
例えばユニクロなどは、かなり幅広い年齢層を想定して作っているので、サイズ展開自体は豊富でも「サイズ感」の面で色々チグハグな面が出てきてしまうものです。
(例えば、下のサイズだとソデはぴったりだけど丈が短い、上のサイズだと丈はぴったりだけどソデが長い、など)
従来のSサイズ、Mサイズ、Lサイズに、XSサイズとXL、XXLサイズを追加しました、という程度の展開に収まらず、同じSサイズでもソデが長い・短いを選べるなど
1人1人に合わせて細かく選べる、セミオーダーメイド感覚のブランドになるのでは?
「ZOZOアイテムの購入にはZOZOSUITによる事前の計測が必要です」との記載まであることから、かなり入り組んだサイズ展開になることが予想されます。
プロモーション映像やPBの発足アナウンス直後から「今までにない究極のフィット感」を謳っていることから、多分この方向じゃないか?と思うんですよ。
自分の適正サイズが選べて、人ははじめてファッション的に尊重される
自分の適正サイズを選ぶことが出来て、はじめてそこから人はファッション的に尊重されるのではないか?
これは大分前から考えていることです。
私がドメスティックブランドを好きになったきっかけも、自分の身体にしっくりくるようなサイズ感の服が、どうしても少なかったということがありました。
昔は本当にどこもブカブカの服を平気で作っていましたからね。
ZOZOは「世界中のすべての尊い個性がファッションで繋がる未来を目指して」いると言います。
おそらく近未来には、洋服は今のように画一的な既製品が並び、それを客が自分に合わせて選ぶ、のではなく、好きなデザインを自分のサイズで作る、というオーダーメイド方式がより一般化するのではないか?と言われていますよね。
ZOZOは、それを一歩先に実現するような、そんな展開になるのではないかと思っています。
そうであれば、こと細かく身体のデータを取れるZOZOSUITの存在理由が出てきますよね。
本来であれば選べないほどの細かいサイズ展開に、ZOZOSUITで計測したデータから
「あなたのサイズはコレ」と的確に選んでもらえる。
その安心感から、試着したけど合わなかった…など返品率などを大幅に軽減させて、
洋服の通販事業も今より格段に効率化出来ますし。
何より大きいのが、おそらくかつてないほど寄せられる膨大なデータ量から、「こういう洋服を好きな人はこういう体型をしている」などの解析ができそうな点。
これにより生産効率が劇的に改善できそうですし、売上予測も立てやすい。
そうなるとどうなるか?と言うと、某セレクトショップじゃないですが、今までにないくらい原価率を究極まで高めた製品群を生み出せるかもしれないということです。
そもそもZOZOはオンラインオンリーのブランドになるわけですから、その部分でも人件費や店舗の維持費の面でかなり有利です。
そこに、サイズまでピッタリの物を用意出来る、となると、実店舗を持たないデメリットを限りなく縮小出来る。
今までになくコストパフォーマンスの良い製品がガンガン生み出されるとしたら「ユニクロ一強」化してしまった現状に大きな風穴が開くかもしれませんね。
ZOZOは誰もが持っているベーシックアイテムで構成されるということなので、「ベーシックアイテムならユニクロで良いや」という状況は本当に一変するかもしれません。
そもそも私はユニクロで本当のベーシックアイテムが揃う、という話は幻想だと思っているんですけどね…。
ベーシックアイテムこそサイズ感って大事になってくるのに、ユニクロはそこが弱いわけですから。
多くの人がユニクロの品質には一定の信頼を置いているものの、こと「ユニクロのサイズ感」という話になると
実は老若男女不満を持っているんですよね。
その点を突けるのではないかと思っています。
またZOZOは国境を超えた展開を想定しているそうなので、その点でもかなり利がありますよね。
国境を超えるとサイズ感って確実におかしくなりますから。
インポート物の明らかに袖が長いアイテムを、デザイン優先で着ている人はたくさんいますが、そういったことも解決されていくのでしょう。
ZOZOSUITがもたらしそうな功、「自分を知る」
ここからは、ZOZOSUITがもたらしてくれそうな「功」と「罪」について考えてみたいと思います。
まずは「功」の方から。
これはファッションにおいて大切な要素である「自分を知る」ということに貢献してくれそうな点。
少なくとも「自分では気付かなかったけど、自分の身体ってこうなんだ」と気づかせてくれるきっかけにはなりそうですよね。
ファッションにおいて大切なことは2つあると思っていて、それは「自分を知る」ことと「服を知る」ということ。
「服を知る」というのは、もちろん世の中にどんな服があるのか?から始まり、素材や服の質、シルエット、といったものの「目利き」まで、さらに今どんなショップでどんなアイテムが売っているのか?今のトレンドは何なのか?などですね。
これが着たい!と思っても、どこに売っているのか分からなければどうしようもありません。
ファッションにおいては、どちらかと言うとこの「服を知る」方が重視されがちなのですが、もっと大事なのは「自分を知ること」。
ただこちらも表現が難しくて、ファッションの世界ではやたら「それはあなたには似合わない」とか「身の程を知れよ」みたいな
可能性を狭めるネガティブな方向に行きがちなのですが、そうではなく、
要するに「自分は本当はどうなりたいのか?」ということですね。
なりたい自分と現実の自分が一致している、なんてことは極端に少ないと思いますが、やっぱりあまりにも落差があるっていう人生も辛いでしょう。
で、まあこの「現実の自分」と「なりたい自分」を上手く繋げて、「自分を知る」ことと「服を知る」ことで調整していく、ギャップを埋めていく、
というのが本当の意味での「coordinate」だと思っているわけです。
「この歳になってようやく自分がしたい格好が分かってきた」なんて
30代くらいからよく聞くセリフですけど、要するにこの「現実の自分」と「なりたい自分」のすり合わせが上手く行くようになってきた、ということだと思うんです。
年を重ねるごとに、自分も服もだんだん分かってきますからね。
ZOZOSUITがもたらしそうな罪、「正しいサイズ」があるという幻想、サイズは心の問題?
服のサイズって、服を買うときの一番の悩みどころですよね。
ZOZOSUITのニュースを聞いて、この部分で悩まなくていい、もう試着しなくて良いって言っている人結構多いんですね。
ただ実は、あんまり「正しいサイズ」っていう概念があるか?っていうと、そういうときもあるし、そうじゃないときもある…というのが本当のところだと思うんです。
背が大きいけれど痩せ型、みたいな人は180cmでSサイズとか普通に着てたりしますしね。
そういう人に、え?その身長だとMかLサイズじゃないの?と言ってみても、いや店員さんもMとかL持ってくるけど、自分的にはSの方からしっくりくるから、
と言われるし、客観的にもそれはそれでとてもよく似合っているし、みたいなこと結構ありますよね。
逆に背がそんなに高くない人が大きめのサイズを着こなしていたり。
遊び心を感じるサイズ感あっていうのもありますし。
そうなってくると正しいサイズって、あるようで無いとも思えてくるんですよね。
僕の昔の知り合いに同じパーカーを3サイズ購入している人がいましたが、使い方と気分次第でサイズを変えるんだとか。
私もこれはこういう使い方をするから、多分ピッタリなのはMだけどSで着よう、みたいな買い方をしたりします。
この間もSサイズで購入決定!と思ったら、XSサイズがあることを知って、
これが着てみるとSサイズよりも良いように感じてきて、
かなりの時間悩んでしまいました。
サイズの問題って「心の問題」でもありますよね。
客観的にこれが適正サイズです、と言われても、そのサイズにしない人はたくさんいます。
またそれが必ずしも間違っているとも言えないわけです。
Mサイズを着てみて、しっくりきたので、念のためLサイズを着てみる。
そうするとLサイズは全然ブカブカに見えたのでMサイズにする。
これは正解に近いものがあるパターンと言えるでしょうね。
でももしMサイズとLサイズで迷ってしまった場合、どちらが正解か…っていうのは本当に難しいです。
これは私もよく相談されることでもあって、1つは「そのアイテムをどう解釈するか?」という視点でお答えすることが多いです。
何故ならもうサイズで迷ってしまった時点で、どっちも正解となりうるし、どちらも不正解となりうるからです。
だからこそ迷っているわけですから。
そこで指針となる解釈、例えば「これはモッズコートだから、タイトよりもちょっと緩めに着たほうが良い」などということを伝えることで、より納得しやすくなるかなと思っています。
ちょっと細めのスラックスなんだけれど「俺はディッキーズみたいに穿きたいからあえてLを選んだんだ」など、オシャレな人ほどこの「解釈力」みたいなものが強いんですよね。
結局どっちつかずのサイズは「心の問題」にもなってくるので、より納得出来る方を選ぶしか無いんですね。
(そうなってしまったらもう買わない、というのも精神衛生上は良いのかもしれません。)
サイズに正解は、ありそうでない。
そう思っていた方が良いこともあります。
「もっと良い選択肢があるかもしれない…」という願望が、強い後悔を招く可能性もありますからね。
ただZOZOSUITには、そんな心の問題を強制的に納得させる、という意味合いはあるかもしれない。
あなたの身体データの計測結果からは、あなたの適正サイズはコレです。
そうハッキリ言ってもらったほうが、多くの人は決断しやすいし、納得もしやすいのは事実でしょう。
ただなあ、人間って「優柔不断な一方で意外と頑固」であることがデフォルトだと思うので、ZOZOSUITで言われているような「もうサイズで悩まなくていい!」って事態を本当にもたらしてくれるのかは懐疑的なんですよね。
選べる、ことから始まる、誰もがファッション的に尊重される世界
ファッションの世界って、とにかく身長が高くて、痩せていて…っていうのが「正解」とされる風潮があると思うんです。
それはもうファッション雑誌を開けば「そういう世界」になっているわけで、どうしようもない部分があるわけなんですが、
用意された服が似合うように身長を伸ばせ、とか言われてもこれまたどうしようもないわけで。
そこでファッションを諦めているというか、あんまりやる気を出せない…っていう人がかなりの割合になっているって、もったいないというか、どう考えても不健康な世界だと思うんですよね。
誰だって「より良い自分」とか「もっと自分を好きになる」ことを目指して良いはず。
でまあ、それにはとにかくサイズを選べないと、スタートにも立てないというか。
サイズが心の問題であるにしても、選べないことにはそれも生じないというか、話にならないわけです。
その点でZOZOには期待しているんですよね。
ZOZOの社長さんは、それこそ小柄な方ですし、そういう発想を持っていてくれるんじゃないかな~と。
一義的に適正サイズは決められる、という話には懐疑的ではありますが、陰ながら応援したいなと思っています。
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