「とりあえずスキニー穿こう」や「スキニーはオワコン」は半分本当で半分ウソ? スキニーデニムなんてもう穿くな!?最適なパンツ・ボトムスは、トップスが決める!
いきなりネット特有の煽るようなタイトルにしてしまって、気分を害された方がいらしたら申し訳ない。
ただどうしてもこういうタイトルを付けないといけない場面もありまして…。
昨今スキニーデニムを穿こう!という初心者向けのファッション指南が増えたこともあって、そろそろ当たり前のような「本当の基礎」を書かねば、と。
もちろん 、俺はスキニーなんて認めん!一生スキニー穿かないぜ!みたいな「アンチ・スキニー」的な考えではありません。
私も4年前くらいまではスキニーよく穿いてましたしね。
スキニー歴も結構長かったような気がしますね。
そもそも長く君臨したトレンドですから、スキニーシルエットは。
そんな私がなぜスキニーを穿かなくなったのか?というところも含めて…
本日は「とりあえずスキニーを穿こう!」は半分本当半分ウソな理由を解説したいと思います。
何故こんなにスキニーデニムがファッション初心者向けのアイテムとされたのか?
今日の本題、伝えたいことは「○○ならスキニーはもう穿かない方が良いかも」という話なのですが、その前になんでこんなにスキニーデニムがファッション初心者向けのアイテムとされてしまったのか?ということをちょっとだけ解説したいと思います。
色々あると思うのですが、一番の理由は、ファッション初心者の方がそれまで選びがちだった中途半端に太いデニムやチノパンからの明確な脱却が図れることにあると思います。
日本だとアメカジブームの影響で「まずはリーバイスのデニムを買っとけ」みたいなことが言われがちでした。
デニム以外だと、チノパンかな。
その影響は結構広範囲に及んでおり、「カジュアルシーンではデニムかチノパン」くらいしか選択肢がなかった時代もありました。
そして中途半端に太めのデニムやチノパンって初心者にはバランスを取るのが難しいし、丈のバランス感なんかを間違えると、ダボダボっとしただらしない印象になりがちでした。
まずはそれを脱がす!ということに、スキニーはうってつけでした。
スキニーを穿けば、とりあえずダボダボっとした、だらしなさみたいなものから卒業出来ます。
このギャップ、成功体験みたいなものこそがスキニーが爆発的に流行した理由でしょう。
あとは初心者にもまずはスキニー!となった数年前は上着、トップスも細身のものが全盛でしたから、スキニーにそうした上着を合わせると全身を細身で統一することが出来、まとまり感も出すことが出来ました。
私は、コーディネートには大きく分けて2つの方向性があると思っています。
1つは要素が同じ、または似通ったアイテムを組み合わせていく「同調」という方向性。
もう1つが、要素が異なったアイテムを組み合わせていく「相反」という方向性です。
これはどちらも洋服と洋服を「合わせる」ときに用いる概念です。
似たようなもの同士を合わせても、そうでないもの同士を合わせても、コーディネートとして洋服同士が「合っている」という状態を成立させることは出来ます。
細身なものには細身を合わせる、という方向性が前者ですね。
同調というのは、セットアップのように極端にならなければ比較的リスクが少ない方向性です。
同じような要素を掛け合わせれば、その要素が強いコーディネートになるわけで、その要素が着る人に合う・合わないという問題が生じてくるのですが、少なくともコーディネートの上下が全然合っていない、という問題は生じさせにくいというメリットがあります。
一方で相反という方向性は、洋服同士の組み合わせレベルで合うこともあるし、合わないこともある。
実際に組み合わせてみないと分からないことも多い、ちょっとリスクというか、ある程度の経験が求められるコーディネート方法です。
細身のトップスが流行っているときにスキニーデニムを穿くというのはコーディネートにおける同調性を高めてくれるので、とりあえずトップスとボトムスが全然合ってない、という問題は生じにくかったのです。
これ、結構見逃されている点だと思います。
なぜ、スキニーデニムはトレンドではなくなったのか?
さて今日の本題に戻りましょう。
タイトルのスキニーデニムなんて捨てちまえ!の前には、いくつかの条件が来ます。
別に穿いても全然良いんです、スキニー。
それはこれから説明するのですが、スキニーデニムなんてもう穿くな、の前に一番ピッタリくるのは
「トレンドに対応するなら」
です。
どういうことか、順を追って説明します。
まず、スキニーデニムは現在、トレンドアイテムとはちょっと言い難い状況にあります。
トレンドという言葉もいろいろな意味がありますから、これでは誤解が生まれそうですね…。
ここで言うトレンドとは、多くの人が全く穿かなくなった、という意味ではありません。
まだまだ街で多くの人がスキニーデニムを穿いていると思います。
ただ、日本国内のトレンドを牽引するようなファッションブランドはスキニーデニムをあまり作らなくなりました。
それはもちろんユニクロやGUで安価なスキニーデニムが出回っているから、というマーケティング的なこともあるでしょうが、一番はそういったブランドの出すトップス(上着)にスキニーシルエットが合わなくなってきたからでしょう。
基本的にブランドは、作る服を上下で合わせます。
いや当たり前だろ、という話ですけどね。
それそのまま再現は出来ないだろ?というくらいに上下同じ生地のセットアップスタイルをやたらコレクションやルックで使いがちですよね。
ブランドが提唱するスタイルが正解、ではありませんから、消費者である我々は各々好きなようにそれを着崩すわけです。
だから、別に上下をセットにして着ないし。
それでも、です。
最近トレンドのブランドの出すトップスは、ここ数年のビッグシルエットブームによって大抵かなりゆるめに、大型化しています。
それに、スキニーを合わせるのが、かなり辛くなってきました。
「え?ゆったりしたトップスにスキニー、めっちゃ合うけど?」と言う人もいると思います。
そうなんです、ある程度までは、それで正解なのです。
ほどよく緩いくらいのトップスに、スキニーを合わせてあげれば、トップスのゆったり感とスキニーの細さが互いに相反して、それぞれの良さが引き出されます。
ただ、最近トレンドのトップスはあまりにも大型化しすぎました。
ロングコートも、以前は着丈が90cmを超えるとかなり長いと感じましたが、今では100cmを平気で超えてきます。
ショートブルゾンにしても、アームが太くなっていたりとどんどんボリューム感を出す方向へ…。
もちろん未だにボリューミーなトップスにスキニーを「あえて」合わせるというスタイルもあります。
しかし、ある一定のラインを超えてしまうと、上半身はとてもボリューミーなのに、下半身はスキニー、というアンバランスな組み合わせでは、互いに反発し合ってとても恣意的に見えてしまうのです。
あらゆる組み合わせは、相対的なものですから。
大きいものと小さいものを組み合わせれば、相対的に大きいものはより大きく、小さいものはより小さく見えます。
このようにあえてお互いを反発させて恣意的に見せる、というならともかく、なるべく穏便にスタイリングをしたい、ということであればある程度ボトムスにもボリューム感を出したほうが、今は上下、全身がまとまりやすいと言えるでしょう。
どう見えた時、スキニーは回避するべきなのか?
ではどう見えてしまった時、スキニーを回避するべきなのでしょうか?
それは「下半身が(相対的に)なんだかとても小さく見えてしまった時」です。
大きいものと小さいものを組み合わせれば、相対的に大きいものはより大きく、小さいものはより小さく見える、と先ほど述べました。
小さく見えるということは、脚は短く見えます。
ある程度までなら、それでも良いのです。
スキニーシルエットによって細く見えることによるタテ長感と相殺される部分もあるからです。
ただこれが、現在のビッグシルエットトレンドの流れを汲むトップスと合わさるとさらにさらに小さく見えます。
その結果、とても短足に見えてしまうんですね…。
スタイルが良い人≒脚が長い人は良いんです。
ビッグなトップスを合わせて多少小さく見せようとも、まだ有り余る脚の長さがありますから。
でもそうではない人は、異様に脚が小さく、そして短く見えてしまうのがこの組み合わせなんですね。
この現象が置きてしまっている人、結構見かけます…。
これは同じく着丈が長く、巨大化しつつあるロングコートでも同じ。
ロングコートにはスキニー!が鉄板の組み合わせと言われたのも今は昔。
現在の巨大化したロングコートをスキニーは支えることが出来ません。
じゃあ、大きいものには大きいものということで、太いボトムスを合わせれば良いの?と思われるかもしれません。
これもある意味正しくて、ある意味間違い。
トップスとボトムス、上・下でのボリューム感でのアンバランスさは解消されました。
今度はこの大きい×太い、という似た要素を同調させて組み合わせたことによって強調されたゆったり感が着る人に合う・合わないという問題が起きてもきます。
上下ゆったりが似合う人と似合わない人が出てきてしまうんですね。
ブルゾンの方を見てもらうと、なんかゴツいですよね笑
また、ワイドパンツは縦に細長く見せる「タテ長感」がありません。
特にロングコートと合わせた時ボトムスにこの「タテ長感」が生まれないので、タテとヨコで今度はアンバランスさが生まれてチグハグになってしまうんですね。
その意味ではロングコート×ワイドパンツというのは相反を超えて、反発すら起こしてしまうような組み合わせでもあるのです。
身長が高い、顔が小さい、いわゆる「スタイルが良い人」は元々この「タテ長感」も持っているので問題ないのです。
モデルを使うルックなんかではよくロングコートにワイドパンツをやっていますが、それはモデルにはワイドパンツでも下半身にタテ長感が生まれるからです。
あの人たちってワイドパンツをワイドにあまり見せないですから。
もしそんなスタイルを持っていないなら、タテ長感はありつつ、スキニーのようにトップスのボリューム感に負けてしまって下半身を小さく見せない 、そんなギリギリの太さのボトムスを穿く必要が出てきます。
その人が持っている「タテ長感」に合わせて、ゆるめのトレンドアウター・トップスと合わせても下半身が負けない、小さく見えすぎないギリギリの太さを選んでいく…。
こうすることで、なるべく上下で違和感や恣意的な感じを出さず、スキニーを合わせるにはちょっと難易度の高い現在のトレンドアウター・トップスも着こなしやすくなります。
ヨコミチ ワイドパンツっていつ穿くの?
え?じゃあワイドパンツっていつ穿くの?という方もいらっしゃると思うので、ちょっとワイドパンツの穿きどころについて解説しておきましょう。
いや別にいつでも穿いて良いんですけどね。
ただオススメは、「トップスが軽い時期」です。
これまで見てきたとおり、今トレンドのゆったりシルエットのアウターはブルゾンにしてもコートにしてもシルエットの「大きさ」だけではなく、「重さ」的なボリューム感がどうしても出てしまいます。
一方シャツやTシャツは、シルエットが多少ゆったりと大きくても、そこまで「重さ」は感じさせません。
さらに、太もも部分は太いながら、裾に向かって細くなっていくワイドテーパードという形を選べば、上から下までしっかり太いザ・ワイドパンツに比べて下半身にまで重さが出すぎません。
ワイドパンツの持つ生地の余った感じ、揺れ感、そこからくる色気や雰囲気を取り入れつつも、難易度をグッと下げることができますよ。
また慣れてきたらボリューム感のあるアウターと合わせるということもしやすくなります。
「コーディネートにおいて最適なパンツ・ボトムスは、トップスが決める」
この記事で伝えたかったことは
「今のトレンドアウター・トップスに対応するなら、スキニーはもうやめたほうが良いかもしれない」
そして
「コーディネートにおいて最適なパンツ・ボトムスは、トップスが決める」
という本当に基礎的なことです。
なんて当たり前なことを言ってるんだ!?と思われるかもしれませんが、近年あまりにスキニーデニムをとりあえず穿こう!みたいな風潮が独り歩きしている部分があって。
それに対していやいや今はワイドでしょ?スキニーは終わりだよ、みたいなファッション界隈独特のマジョリティに対するカウンター的な流れもあり、かえってカオスな状態も生まれつつあると思ったので、腰を据えて解説してみました。
スキニーもワイドも、実は「(スタイルがそこまで良くない人にとっては)万能なアイテムではない」という、同じ欠点を抱えているんですよね。
私達はパンツに万能さを求めがちです。
このジーンズさえあれば間違いない!みたいな。
私もよく、一時的に1つの型のパンツを徹底的に穿くみたいな状況になりがちです。
それでも良いのですが、ただその型は、その時その時のトレンドトップスやアウターによって変化せざるを得ないかもしれません。
オシャレとは「いつも同じ格好ではいられない」という宿命を背負います。
つまりトレンド対応とバリエーションの確保が求められるもの。
そう考えると確かに、服はめんどい…。
え?そんなことまで考えなくちゃいけないの?ということがありすぎます。
私も、ファッションについていかにカンタンに、わかりやすく伝えるか?ということに頭を悩ませているところでまだまだ精進が必要だなと思っております。
ファッションは面倒、だけどだからこそ得られるメリットはたくさんあるということをこれからも地道にお伝えしていかなければと思っています。